お庭のグランドカバーにぴったりなヤブランの育て方【特徴と増やし方】

ヤブランはしっかりとした葉が印象的で、こんもりとした草姿がグランドカバーにピッタリな植物です。

ヤブランには山野草の雰囲気があるので和風の庭にも合いますし、一年を通して緑色の葉を茂らせたままなので洋風の庭にアクセントとして取り入れることもできます。

また、秋の時期に稲穂に似た形の紫色の花をすっと伸ばして咲かせると、がらっと印象が変わります。

花の後につける黒々として実も魅力的です。

あまり手がかからないヤブランは初心者にも育てやすい植物なので、詳しくご紹介します。

ヤブランの基本情報

学名Liriope platyphylla、Liriope muscari
英名Summer muscari
その他別名サマームスカリ、リリオべ、山管(ヤマスゲ)
科名キジカクシ科
属名ヤブラン属
原産地日本、中国

ヤブランの特徴

ヤブランの葉は30mから50cmの長さで、まっすぐ伸びるのが特徴です。

秋になるとたくさん伸びた葉の根元から、稲穂のような紫色の花の穂を伸ばします。

花のひとつひとつはとても小さく、丸い蕾から数枚の花びらがついた可憐な花を咲かせます。

ヤブランの紫色の花が、ムスカリととても良く似ていたことからサマームスカリの別名がついています。

また、属名からとられたリリオぺという別名や、管のように長い葉をつける様子から山菅(ヤマスゲ)という別名もあります。

ヤブランの花言葉である「忍耐」や「謙虚」は、木陰や日かげでも自生する特徴からつけられたものです。

冬の間も、寒さに耐えて青々とした葉をつけたままの様子からもイメージされますね。

「隠された心」という花言葉は、たくさんの葉の中に隠れるようにして花や実をつけるところから連想されました。

日本にも自生しているヤブランは、古来から漢方薬や生薬として使われてきた歴史があるとても身近な植物です。

ヤブランの種類t

日本や中国に自生するヤブランには、いくつかの品種があります。代表的なものをご紹介します。

フイリヤブラン(斑入り藪蘭)

細長い葉に、白い斑がいくつも入っているのが特徴です。白い斑がいく筋も入っているので、明るいイメージを与えてくれます。

「ゴールドバンデッド」という園芸品種名でも流通しています。

ヒメヤブラン

日本に自生するヤブランの品種です。ヤブランよりも葉が細く、花もまばらですがたまに白い花が混じって咲きます。

枝が伸びて新しい株ができる特徴をもつので、株分けが簡単に行えます。

シロバナヤブラン

白い花をつけるヤブランの品種です。

コヤブラン

ヒメヤブランよりは大きく、ヤブランよりは小さいのが特徴で、日本に自生している品種です。

ヒメヤブランと同じように茎が横に伸びるので、株分けが容易に行えます。

ヤブランの栽培・育て方

ヤブランは林や森の木陰で自生している植物なので、耐陰性が強くお庭のどこに取り入れても比較的丈夫に育つことができます。

すっと伸びた葉っぱを楽しむことが多いヤブランですが、花や実をつける植物です。

たくさんの花や実をつけるためには、半日ほどは日が当たる場所を選びましょう。

ヤブランの育て方情報

分類・形態多年草/グランドカバー/観葉植物
草丈・樹高30cm~50cm
開花の時期8月~10月
花色紫色、白、ピンク
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途常緑性、グランドカバー、花壇、コンテナガーデン
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け3月~6月、9月~10月
植え替え3月~6月、9月~10月
剪定3月
肥料3月~4月、10月~11月
開花8月~10月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

耐陰性があるので、日陰でも育つことができますが花や実をたくさんつけるためには特に秋の時期に日が当たるような場所で管理しましょう。

夏場の日差しで葉焼けしてしまうことがあるので、夏は葉が茂り秋になると葉が落ちるような落葉樹の下が適しています。

水やり

土の表面が乾いたら水やりをしましょう。春と、植え付けてから数週間は水を切らさないように注意します。

庭植えの場合は特に水やりの必要はありません。

用土

水はけの良い土を好むので、市販の培養土か赤玉土と腐葉土を7:3で混合したものを使いましょう。

庭植えにするときは、植え付け時に腐葉土を混ぜ込んで水はけをよくしておきます。

肥料

鉢植えは春と秋に緩効性の化成肥料を与えます。

庭植えの場合は、植え付け時に元肥として有機肥料やたい肥を与えるだけで十分です。

温度

ヤブランには耐寒性がありますが、強い霜が何日も当たると弱ってしまうので、鉢植えの場合は軒下や温室に移動しましょう。

庭植えの場合は、ウッドチップやマルチで根元を保護したり、ビニールをかけてあげましょう。

ヤブランを育てるときのポイント

選び方

葉を観賞することが多いので、葉に痛みがないか、たくさんの葉が伸びているかに着目して選びましょう。

植え付け・植え替え

春は秋の時期に行いましょう。

植え付け時は元肥としてたい肥か有機肥料を与え、腐葉土を混ぜ込んだ土に植え付けます。

グランドカバーにする場合は、密集すると生育が十分でなくなってしまうので20cmほどの間隔を開けましょう。

鉢植えは2年ごとに植え替えも行います。春か秋に一回り大きめの鉢に植え替えましょう。

剪定

新しい葉が伸びる前の3月に、茶色くなった葉をカットすると見栄えがよくなります。

ふやし方

ヤブランは株分けで増やすことができます。

植え替えもかねて、株分けすることをおすすめします。

ある程度の大きさに育った株を、芽が3芽以上つくようにして手かハサミを使って株分けをします。

芽が少ないと丈夫に育たないので注意しましょう。

根を傷つけないように気を付けながら、新しい場所に植え付けましょう。

植え付けてからしばらくは、水を切らさないように注意します。

庭植えのヤブランも5年を目安に株分けもかねて、植え替えを行いましょう。

気を付けるべき病気・害虫

病気:炭疽病にかかっている場合は、葉が茶色く変色してしまいます。水はけが悪いとかかりやすいので注意しましょう。

害虫:葉を食害してしまうナメクジやハモグリバエがつくことがあります。這った跡が残っている場合は、見つけて直接排除しましょう。薬剤の散布で予防することもできます。

殺虫剤・殺菌剤

病気にはトップジン水和剤などを用います。

害虫にはナメクジ駆除剤やベニカ系のスプレーを使いましょう。