
モウセンゴケという植物を知っていますか。
名前は知らなくても、食虫植物の代表として見たことがある方は多いかもしれません。
名前に反して、コケ植物ではなく種子植物に分類されるモウセンゴケ。
開いた葉っぱの先に虫が好むたくさんの粘膜の液をつけていて、葉がキラキラ輝いているのも魅力的です。
虫が葉につくとクルっと丸まって捕獲してしまうモウセンゴケの栽培は、難しそうに見えてポイントを押さえれば初心者でも育てることができるので、詳しくご紹介します。
モウセンゴケの基本情報
学名 | Drosera rotundifolia |
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英名 | Sundew |
その他別名 | ドロセラ・マルバモウセンゴケ |
科名 | モウセンゴケ科 |
属名 | モウセンゴケ属 |
原産地 | 北半球 |
モウセンゴケの特徴
モウセンゴケの名前は、葉のまわりの粘液を出す毛が朱色に色づくことが由来となっています。
まるで毛氈(赤いじゅうたん)を敷き詰めたような印象をもつモウセンゴケは、学名のドロセラという名前で呼ばれることもあります。
「詐欺」や「不誠実」などというネガティブな花言葉がついていますが、これはモウセンゴケが食虫植物であることに由来しています。
小さい虫をだまして食べてしまうことから、このような花言葉があてられたのでしょう。
小さい虫を捕まえる葉の特徴にばかり目がいってしまいがちですが、モウセンゴケは小さく可愛い花を咲かせます。
品種によって開花時期が異なりますが、春から夏にかけてピンクや白、赤の小さく可憐な花を咲かせるモウセンゴケ。
日本の高原や湿原にも自生しているのを見ることができます。
葉も花も楽しめるおもしろいモウセンゴケをぜひ育ててみてください。
モウセンゴケの種類
モウセンゴケは多くの場合、夏にホームセンターや販売店などで販売されています。
熱帯産、温帯産、寒地性などの種類がありますが、日本では熱帯産のものが多く流通しています。
手に入りやすい品種をいくつかご紹介します。
コモウセンゴケ
日本の関西地方に自生するモウセンゴケの品種で、ひとまわり小ぶりの大きさです。
ピンク色の小さな花を咲かせます。
アフリカナガバナモウセンゴケ
南アフリカ原産のモウセンゴケで、赤い花と白い花があります。
比較的、丈夫で熱帯性ですがある程度の寒さには耐えることができます。
ピグミーモウセンゴケ
モウセンゴケの品種の中でも、小型の品種です。
オーストラリア原産で、耐寒性もありムカゴでふやすことができます。
イソギンチャクのように円盤型に葉を広げるのが特徴です。
モウセンゴケの栽培・育て方
モウセンゴケは栽培が難しいように思われますが、室内の風通しと日当たりの良いところでしたら日本でも簡単に冬越しができます。
モウセンゴケは酸性を好みますので花用の培養土ではなく用土が他の大部分の植物と異なり、ピートモスや鹿沼土、ミズゴケであることだけ注意して育てましょう。
モウセンゴケの育て方情報
分類・形態 | 食虫植物・多年草・山野草 |
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草丈・樹高 | 50cm |
開花の時期 | 6月~7月 |
花色 | 白・ピンク・赤 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 山野草・盆栽 |
栽培難易度 | やや難しい |
栽培スケジュール
植え付け | 12月~2月 |
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植え替え | 12月~2月 |
開花 | 6月~7月 |
栽培に必要な準備・環境
多くの植物と異なり、酸性の用土を好むモウセンゴケ。
水の管理と、適切な用土を選ぶことが管理のポイントです。
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所を好みますが、直射日光には弱いのでカーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。
クーラーの風が直接当たらないように注意します。
葉の粘液がなくなって弱ってくると、置き場所が適していないということなので移動してあげましょう。
水やり
モウセンゴケは湿った場所で自生しているので、乾燥させないようにしましょう。
ただし、葉に水がかかるのを苦手とするので鉢皿に水を入れて毎日替えるようにするか、葉にかからないように気を付けて土にだけ水やりをするかしましょう。
肥料
モウセンゴケは食虫植物なので、肥料は必要としません。
小さな虫をつかまえて、栄養分とします。
用土
酸性の用土が適しているので、ピートモスや赤玉土、鹿沼土、日向土を配合するか、ミズゴケを使用しましょう。
鉢の底に鹿沼土や赤玉土を敷いて水はけをよくしてからミズゴケを詰めていきます。
温度
モウセンゴケは熱帯産と温帯産に大別されます。
熱帯産は冬芽を作らない品種なので、冬場は10℃以上の場所で管理することが必要です。
温帯産は冬芽を作るので外でも管理できますが、霜や雨が当たらないように注意してください。
モウセンゴケを育てるときのポイント
選び方
葉が多く出ていて、苗元がしっかりしているものを選びましょう。
葉が茶色くなっていたり、粘液が少ないものは避けます。
植え付け・植え替え
12月~2月が植え付けの適期です。
鉢底に鹿沼土や日向土を入れてから苗を乗せ、ミズゴケなどを敷き詰めて固定します。
植え替えも冬の時期に、ひとまわり大きい鉢へ移します。常に濡れた状態の用土を好むため、カビが発生したり腐ってしまったりすることがあります。
注意深く観察して、用土やミズゴケが傷んでいる場合はいつの時期でもすぐに植え替えをしましょう。
増やし方
モウセンゴケは種子植物なので、種を採取して増やすことができます。
夏から秋に種ができたら、すぐに湿らせて細かくしたミズゴケに種まきします。
春に発芽するまで、直射日光を避け鉢皿の水を絶やさないようにしましょう。
また、植え替え時に群生しているものを新しい鉢に株分けして増やしていくことも可能です。
気を付けるべき病気・害虫
病気
特にありません。
害虫
ハダニやアブラムシがついたときは、市販のスプレー剤を散布しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
モストップジンやアーリーセーフをハダニ・アブラムシ防除に使用しましょう。