多肉植物「パキポディウム」の品種と育て方のポイント【種から育てられる?】

パキポディウムは、キョウチクトウ科、パキポディウム属の塊根植物(コーデックス)のひとつです。

原産地はマダガスカルや南アフリカで、栄養のない乾燥した地や標高1,000m以上の山岳地帯の岩場に自生しています。
ずんぐりむっくりとした形が特徴で、とてもゆっくりと生長します。

パキポディウムは、まだあまり馴染みのない植物かもしれませんが、コロンとした見た目が愛らしく近年愛好家や男性にも大人気です。
今回はそんなパキポディウムの育て方をご紹介します。
お手入れも比較的少ないので、是非育ててみてください!

パキポディウムの基本情報

学名Pachypodium rosulatum var. gracilius
英名Pachypodium rosulatum var. gracilius
その他別名象牙宮
科名キョウチクトウ科
属名パキポディウム属
原産地マダガスカル・南アフリカ

パキポディウムの特徴

パキポディウムという名前は、ギリシャ語の太いという意味の「Pachus」と足の意味を持つ「Podion」からつけられました。
その名の通り、太く肥大した胴体は、象やサイの足のようにも見えます。

マダガスカルなどの自生地では、6mにもなるヤシの木のようなものからボールのように丸いもの、トゲがたくさんあるもの、ツルっとツヤのある木肌のまでたくさんあります。
1,000円くらいで買えるものから希少価値の高い品種は、5万円以上するものもあります。

パキポディウムの種類

パキポディウムには原種の他にも交配されたものも多くあり、約50種類の品種があります。
いくつかの種類をご紹介します。

パキポディウム・グラキリス

パキポディウムの代表的な人気品種です。
象牙宮という名で、パキポディウムの王様とも言われています。

こんもりと丸っとした幹が特徴で、黄色い花を咲かせます。

パキポディウム・ラメリー

太い瓶のような幹を持ち、大きなものは約6mにも生長します。
英語では別名ボトルツリー(Nottle Tree)とも呼ばれています。

パキポディウム・ロスラーツム

ボトル型の幹がのび、さらに枝もボトル型になります。
日本で種から育てられた実生のものも多くあります。

パキポディウム・カクチペス

太い赤茶色の株はシワがありトゲはありませんが、枝にはたくさんのトゲがついています。
大き目の黄色い花を咲かせます。

パキポディウム・ブレビカウレ

平たい形でトゲを持つ品種です。恵比寿笑いとも呼ばれています。
里芋をいくつか繋げたような見た目で、黄色い花を咲かせます。

パキポディウムの栽培・育て方

パキポディウムは日本で種から育てた実生のものと、原産地から輸入したものがあります。

日本での実生株の方が日本の気候に強く、初心者でも育てやすいでしょう。
また、日本では気候の問題から、鉢植えで育てるのが一般的です。

パキポディウムを育てるために、水やりと日当たりは重要です。
特に初心者は心配になって水やりを多くしがちです。

パキポディウムは加湿に弱く、腐ってしまうので気を付けてください。

パキポディウムの育て方情報

分類・形態多肉植物・観葉植物・多年草
草丈・樹高10cm~100cm
開花の時期3月~5月
花色黄色・ピンク・赤・白
耐寒性弱い
耐暑性強い
特性・用途落葉性・観賞用
栽培難易度やや難しい

栽培スケジュール

植え付け3月~5月
植え替え3月~5月
剪定3月~5月
肥料3月~5月・9月
開花3月~5月

栽培に必要な準備・環境

それでは、パキポディウムを育てるために必要な環境をみてみましょう。

日当たり・置き場所

日当たりが良く、風通しが良い場所を好みます。
冬以外は屋外で育てると良いですが、雨に当たり続けるような場所は濡れて腐る原因となるので避けてください。

冬場は室内に入れ、カーテン越しでもよいので、日当たりの良い場所に置いてあげましょう。

水やり

水やりは1週間に1・2回にしましょう。
パキポディウムは乾燥に非常に強いので、毎日水やりをする必要はありません。

前回の水やり後、2・3日間しっかりと土が乾いてから、次の水やりをしてください。
特に冬場は、葉が落ちて生長もとまるため、ほとんど水やりをしなくても大丈夫です。

冬場は月に1回で十分でしょう。

肥料

3月と4月、9月が肥料を与えるのに適した時期です。
この間は、1ヶ月に1回、液体肥料をあげてください。

用土

水はけの良さが重要です。
多肉植物用やサボテン用の培養土を使いましょう。

自分で配合する時は、赤玉土(硬質)、日向土、ゼオライトなどを5:4:1で配合するとよいでしょう。
水はけをよくするために土っぽさよりもザクザクとした質感にすると、根腐れを防げます。

水をあげたら、すぐにざーっと流れ出るのが理想の状態です。

温度

暑さには強い植物です。
10度以下になったら室内に入れてあげましょう。

パキポディウムを育てるときのポイント

それでは、パキポディウムの育てるときのポイントをご紹介します。

選び方

初心者は日本で育てられた実生の株を選んだほうが、日本の気候に馴染みやすく育てやすいでしょう。

種まき

株を買って育てるのが一般的です。
簡単ではありませんが、種まきをする事も可能です。

種は園芸店ではほとんど手にはいりませんので、インターネットで入手します。
種も日本で採取された種を使う方が発芽する確率があがります。

種まきをする場合は、6月から7月が適した時期です。

  1. 発芽を促進する「メネデール」と、カビを防止する「ダコニール」を水に薄めて種を一晩ひたします。
  2. ひたした種を、バーミキュライトと赤玉土を1:1に混ぜたものに並べます。
    ごく薄く種が埋まっていれば、完全に埋まらなくて問題ありません。
  3. 別の容器に水を入れて、種を巻いたポットを入れて、鉢の下側から給水させます。
    これを、「腰水」と呼びます。
    うまくいけば、1週間前後で発芽します。

植え付け・植え替え

2年~3年に1回、植え替えをしてあげましょう。
植え替えに適した時期は3月~5月です。
トゲがある品種は、必ず園芸用や革の手袋などを使って作業してください。

植え替えの手順を説明します。

  1. 株を古い鉢から抜く。
  2. 根の周りを手でやさしくもみながら、古い土を落とす。
  3. 鉢の底に、底石をひく。
  4. 1/3程度用土を入れて、元肥も入れる。
  5. 鉢の中心にパキポディウムの株を置いて、周りに土を入れる。
  6. 明るい日陰に置いて、1週間程度したら水やりをする。

ふやし方(株分け , 挿し木 )

種まきと挿し木で増やすことができます。
種から育てる事は難しいですが、日本で育てられた実実の種であれば比較的管理がしやすいでしょう。

挿し木にする場合は、伸びた枝を切り、切り口を乾かしてから用土に挿します。

気を付けるべき病気・害虫

生長点黒化病、ウイルス性のモザイク病やカイガラムシによるすす病にかかる事があります。
アブラムシ、ハダニ、カイガラムシがつく事もあります。

殺虫剤・殺菌剤

ウイルス性の病気になってしまったら、焼いて処分する必要があります。
アブラムシ、ハダニ、カイガラムシは手やティッシュでその都度取り除きます。

また、オルトラン粒剤を予めまいておくと害虫予防になります。