一晩しか咲かない月下美人(ゲッカビジン)の育て方【名前の由来と花言葉も紹介】

1年に1度満月の夜にしか花を咲かせないという、美しく儚い美人の象徴のような月下美人。
でも実はお花ではなくサボテン科の植物で、環境やお手入れによっては年に何度か花を咲かせることも。
育て方のコツをつかめば初心者の方でもお花を咲かせることができます。
今回はそんな月下美人の育て方のポイントを紹介します。

月下美人の基本情報

学名Epiphyllum oxypetalum
英名Dutchman's pipe cactus・Queen of the night
その他別名月来香(ゲツライコウ)
科名サボテン科
属名クジャクサボテン属
原産地中南米

月下美人の特徴

月下美人は原産国を中南米とする、サボテン科の着生サボテンの一種です。
夜になると幾重にも重なる花弁がひらく姿はとても美しく、またジャスミンのように甘く遠くにいても分かるほど強い香りが特徴です。

名前の由来は、昭和天皇が台湾を訪れた際に月下美人の美しさに目を奪われ、駐在大使に名前を聞いたところ「月下の美人です」と答えたことから月下美人と呼ばれるようになったと言われています。

夜にしか咲かないという神秘的な美しさから「花が同じ日に咲く」「満月の夜だけ咲く」など諸説ありますが、実際はそのようなことはありません。

月下美人の種類

日本に咲いていた月下美人はもともと一種類でしたが、今は色んな種類との交配がすすみ20種類ほどとなっています。
白い花が特徴ですが、赤やピンクなどの色が混ざった種類は月下美人の近縁種となります。

姫月下美人

花は小ぶりですが花弁の数が多く香が強いことが特徴です。
また多くの花を咲かせ、夜明けから日中まで咲き続けます。
月下美人とは同様の交配種ではない原種となります。

十三夜美人

月下美人と宵待美人の交配種であり、花の形が菊に似て花弁が多いことが特徴です。
月下美人よりは小ぶりですが、花は白く雌しべが赤い色の清楚で可愛らしい印象です。

宵待美人

月下美人よりも花弁が細く、香りがあまり強くないことが特徴です。
十三夜美人よりも更に小ぶりで花弁が多く、雌しべがピンク色をしており可愛らしい印象です。

歌麻呂美人

月下美人と宵待孔雀の交配種です。
花弁が細く数も少ないですが、実は食べることができます。
キウイフルーツのような味がします。

満月美人

月下美人と姫月下美人の交配種で、姫月下美人よりも大きいですが比較的小ぶりで多くの花を咲かせるのが特徴です。
美しい花がたくさん咲くという交配種の長所を兼ね備えた種類です。"

月下美人の栽培・育て方

月下美人は株の成長具合によって一度も開花せずに終わることもあれば、一年に何度も花を咲かせることもあります。
またどんどん大きくなる成長期と活動が弱まる休眠期では水やりの方法が異なることが特徴でもあります。
難しいようですが特別な技術は必要ないのでコツをきちんと抑えて育てることで初心者でも栽培可能な植物です。

また排水性や日当たりのいい場所など月下美人の好む環境を準備することが大切です。

月下美人の育て方情報

分類・形態多肉植物・多年草
草丈・樹高1~2m程度
開花の時期7月~11月
花色
耐寒性弱い
耐暑性普通
特性・用途常緑性・香りがある
栽培難易度やや難しい

栽培スケジュール

植え付け5月~9月
植え替え5月~9月
剪定9月
肥料4月~10月
開花7月~11月
収穫7月~11月

栽培に必要な準備・環境

月下美人を育てるには環境作りがとても大切です。初心者の方は鉢植えで育てることをおすすめします。

日当たり・置き場所

耐寒性が弱く日当たりがいい場所を好むので、日当たりがいい場所がいいでしょう。
寒い時期は室内の日が当たる場所がおすすめです。
また真夏は日差しが強く葉焼けをおこすので、午後は日陰に移すようにしましょう。

水やり

多肉植物のため基本水を好みます。
ただしどんどん成長する成長期と、活動が弱くなる休眠期とで水やりの方法が異なります。

成長期にあたる5月~10月は土が乾いたら鉢の底より水が出るほど、たっぷりと水をあげましょう。
休眠期に入る11月~4月は水を控え土が乾燥したら数日待ち、その後に土が湿る程度の水を上げましょう。

頻度は月2.3回が目安です。
休眠期に水をあげ過ぎると根腐れを起こすので注意が必要です。

肥料

株の成長のため肥料は欠かせません。
リン酸やカリウムが多めに入っている肥料を4~10月までは月1回根元に置きましょう。
11月~3月は休眠期なので、肥糧は不要です。

用土

根腐れを起こしやすいので排水性が大切です。
月下美人用の用土か「シャコバサボテンの土」がおすすめです。

月下美人を育てるときのポイント

苗の選び方

株がしっかりして、虫食いがなく葉にシワが無いものを選びましょう。

植え付け・植え替え

植え付けはできるだけ真夏は避けて下さい。
植え付け直後は日陰で管理しながら少しずつ日差しに慣らしましょう。

花を咲かせるためには株が大きくなることが大切であり、そのために植え替えは重要です。
5~9月の温かい時期に、2年に1度のペースで一回り大きい鉢に植え替えてください。

切り戻し

開花後期の9月~10月に行います。
枯れた茎や葉、伸びすぎた葉などを切取り形を整えますが、大株になるほど花がつきやすいので最小限にとどめましょう。
また根本から「シュート」という棒状の茎が伸びますが、伸びすぎると花芽がつきにくくなるので根元は避け先端の方だけ切りましょう。
切ったところから平らな茎がのび、花芽がつきます。

気を付けるべき病気・害虫

特定の病気や害虫がつきやすいという特徴はありません。
ただ根腐れを起こしやすいので根腐れを起こすと害虫の原因となります。
また一般的な害虫はつくことがあるので、葉や茎などにカイガラムシという白い虫がいないか観察しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

カイガラムシ専用殺虫剤スプレーがおすすめです。