日本原産で、古来から日本人に愛されてきた椿(ツバキ)。
古くは『日本書紀』にも椿の記録が残されています。
ツバキの花は、和を感じさせる凛とした花姿が魅力ですが名前の由来を辿ると、その葉の艶から「津葉木」となりツバキと呼ばれるようになった説や葉の厚みから「厚葉木」でツバキになった説などあります。
ツバキの葉の独特な美しさも愛される秘訣の一つと言えます。
鮮やかな花と、艶やかな濃緑の葉、そのコントラストは惚れ惚れするほど。
今回は、そんな日本を代表する花木の一つであるツバキの、種類や栽培方法をご紹介します。
椿(ツバキ)の基本情報
学名 | Camellia japonica |
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英名 | Camellia |
その他別名 | 椿(ツバキ)・海柘榴(ツバキ)・藪椿(ヤブツバキ)・山椿(ヤマツバキ) |
科名 | ツバキ科 |
属名 | ツバキ属 |
原産地 | 日本・中国・東南アジア |
椿(ツバキ)の特徴
ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木で、主に日本やアジアに分布しています。
英名はCamellia(カメリア)といい、欧米でも庭木として高い人気を誇ります。
ツバキの魅力は、その佇まいのみならずその花期が長いこともその一つです。
11~2月、そして2~4月に、直径6cm前後の花を次から次へと咲かせます。
約半年近く、ツバキの花を楽しむことができます。
栽培もそれほど手がかからず、育てやすい庭木の部類に入ります。
椿(ツバキ)の花言葉
花言葉は、つつましやかなイメージから、「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」。
花色は、赤・白・ピンク・ミックスなどさまざまあり、花色別の花言葉もあります。
白いツバキは「完全な美しさ」、赤いツバキは「謙虚な美徳」、ピンクのツバキは「控えめな愛」といった花言葉がつけられています。
椿(ツバキ)の種類
ツバキ品種改良しやすい花で、6000種ほどが存在しています。
古くから存在する原種は以下の4種類です。
- ヤブツバキ(これが一般的にいうツバキです)
- ユキツバキ
- サザンカ
- トウツバキ
以下に代表的な品種をご紹介します。
また、サザンカのツバキとの違いも説明します。
コシノベニシダレ
ユキツバキの一種。
ユキツバキは主に日本海側や東北地方に見られます。
岩根絞(いわねしぼり)
半八重咲きで赤地に白い斑が入ります。
江戸ツバキに分類されます。
加茂本阿弥(かもほんなみ)
大きな一重咲きの白い花をつけます。
京ツバキに分類されます。
雪月花や弓場しぼりなど
西洋ツバキに分類される品種です。
18世紀に西洋に渡ったツバキが、品種改良され日本に里帰りしたものが西洋ツバキです。
秋咲きで八重咲きが主流です。
サザンカ(山茶花)
ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。
ツバキ(ヤブツバキ)とサザンカは似ていますが、大きな違いはツバキには枝や果実が無毛であるのに対し、サザンカは果実の表面に短い毛が生えている点です。
ほかにもツバキは花が完全に開かずカップのような形状になっていますが、サザンカはほとんどの場合は完全に開きます。
原種であればこのように見分けが容易なのですが、園芸品種は多種多様なため見分けにくいものもあります。
椿(ツバキ)の栽培・育て方
ツバキは、耐寒性・耐暑性ともに優れており日陰でも育てることができる丈夫な庭木です。
鉢植え、庭植え、生垣にも向いています。
また、常緑なので一年中美しい葉を観賞でき花期も長く楽しむことができます。
ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
椿(ツバキ)の育て方情報
分類・形態 | 小高木・高木・庭木・常緑樹・照葉樹林 |
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草丈・樹高 | 5~10m |
開花の時期 | 11月~12月・2月~4月 |
花色 | 赤・ピンク・白・複色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性・生け垣向き・日陰でも育つ・耐暑性・耐寒性 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月・9月~10月 |
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植え替え | 3月~4月・9月~10月 |
剪定 | 3月~4月 |
肥料 | 2月・3月 |
開花 | 11月~12月・2月~4月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
ツバキは、日陰でも育つ植物ですがなるべく西日が当たりすぎない場所を選びましょう。
水やり
地植えの場合、植え付け後はしばらく乾いたら水やりをしてあげてその後は自然に任せて構いません。
夏の暑い乾燥時期は、涼しい午前中に水やりをしてください。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげましょう。
用土
ツバキは、水はけのよい肥沃な土地を好みます。
市販の培養土や腐葉土を混ぜた土、赤玉土や鹿沼土を混ぜた土などを用意します。
肥料
植えつけの際に、有機質を含む肥料などを元肥として与えておきましょう。
その後は2月に寒肥として有機質を含む肥料を施します。
鉢植えの場合は、3月に追肥しますが、開花中であればその花が終わってからにします。
椿(ツバキ)を育てるときのポイント
選び方
さまざまな園芸品種があるので、好きなものを選びます。
葉の色をまず見て、つやつやしていて濃厚な色のものを選びましょう。
植え付け・植え替え
植え付け、植え替えともに3月~4月もしくは9月~10月に行います。
剪定・切り戻し・収穫
剪定は開花後の3月~4月に行います。
花が終わってから行ってください。
込み合った枝を間引いたり、樹形を整えましょう。
ふやし方
ツバキは、挿し木でふやすことができます。
花後に枝を10㎝ほど切って、切り口を斜めにカットします。
それを1時間以上水につけておき、鉢に植えます。
その鉢は、根が育つまで、明るめの日陰で保管してください。
そのあと希望の場所に植え付けます。
気を付けるべき病気・害虫
ツバキは、カイガラムシやチャドクガという蛾の一種の被害にあうことがあります。
殺虫剤・殺菌剤
カイガラムシは発見し次第、古歯ブラシ等でこそげ落とします。
市販の、オルトランDX等のスプレーも効果的です。
チャドクガはツバキの葉の裏に卵を産みます。
見つけ次第、その葉ごと切り落とします。
卵や幼虫に素手で触ると発疹が出るので注意してください。