
フェイジョアはウルグアイなど暖かい地域を原産とする低木果樹です。
鮮やかな色の花や葉をまとい栽培も容易であることから、庭の生け垣にも使用されています。
また秋から冬にかけて甘酸っぱいトロピカルな実を収穫して味わうこともできます。
今回はフェイジョアの品種や育て方、そして収穫後の食べ方まで紹介いたします。
フェイジョアの基本情報
学名 | Acca sellowiana・Feijoa sellowiana |
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英名 | Feijoa・Pineapple guava |
科名 | フトモモ科 |
属名 | フェイジョア属 |
原産地 | ウルグアイ・パラグアイ・中米 |
フェイジョアの特徴
フェイジョアは暖かい地域を原産としますが、寒さにも強く害虫被害も少ないため初心者の方でも育てやすい品種です。
成長すると高さ1.5m~3mほどにの大きさになり、常緑性のため冬場でも葉がおちることがないため庭木としても人気があります。
フェイジョアの葉はオリーブの葉を少し大きくしたような光沢のある丸みをおびた形をしています。
花は薄いピンク色の花びらが内側に巻き込むように咲き、中心の真っ赤な雌しべがブラシのように咲くことが特徴です。
実はこの花も食べることができ、口に含むとほんのり甘い味がします。サラダなどに合わせて彩りを楽しむこともできます。
フェイジョアの実は食べられる
秋頃にはキウイのような形をした実をつけ、甘酸っぱく栄養も多く含んでいるため美容にもおすすめです。
ただしフェイジョアの品種にもよりますが、1種のフェイジョアだけでは実がなりにくく、2種以上のフェイジョアを混植することで実つきがよくなり収穫することができます。
フェイジョアの食べ方
収穫した実は、生で食べることもできます。
半分に切りキウイのようにスプーンで食べてみましょう!
トロピカルな甘さと酸っぱさが口いっぱいに広がります。
その他にミキサーにかけてジュースにしたり、ヨーグルトに入れることもおすすめです。
またフェイジョアはジャムとして加工することもおすすめ。
フェイジョアはペクチンという成分を豊富に含んでいるため砂糖を加えるだけで甘くとろっとしたジャムになります。
作り方としては、果肉をくりぬいてフェイジョア一つに対して砂糖約10gを加え弱火でとろみがでるまで混ぜながらコトコト煮るだけ。
甘さは味をみながらお好みで足してください。
パンにのせたりアイスやヨーグルトにかけてもおいしいですよ。
フェイジョアの種類
フェイジョアは品種もさまざまあり、品種によって果実の味わいも違います。
クーリッジ
果実は他の品種に比べ小さめで不揃いですが、マイルドな味わいで人気のある品種です。
受粉木としてもおすすめです。
自家結実性があり、一種でも実がなりますが他の品種と受粉させたほうが実の味わいがよくなります。
ジェミニ
自家結実性があり一本でも実を収穫することができますが、他の品種と受粉させることで大きい実を収穫することができます。
一本で実がなりますが、その場合は実の味があまりよくないためジャムなどに加工するといいでしょう。
マンモス
実は大きめの卵形をしており、果汁が多く香高いことが特徴です。
そのため実が軟らかく痛みやすいため収穫後の長期保存には向きません。
高さもさほど高くならないため庭木としても向いています。
自家結実性はありません。
アポロ
果実の風味がよく、肉厚で甘い果実のため実の味わいを求める方にはおすすめの品種です。
収穫後は日持ちしませんので早めに食べましょう。
自家結実性があります。
トライアンフ
樹勢が強く、卵形の実をたくさん収穫することができます。
実は肉質は粗いですが、香りがよいことが特徴です。
また収穫後にある程度保存することができます。
バブビナ
比較的新しい品種でありフェイジョアの中でも小型品種にあたります。
樹木の高さは1.5mと小さく実は皮をむかずに食べることができます。
フェイジョアの栽培・育て方
フェイジョアは寒さにも強く害虫にも強いことが特徴ですが、実を収穫して食用として楽しみたい場合は品種の選択や温度管理などが必要です。
また乾燥にも弱いため水やりも注意しましょう。
フェイジョアの育て方情報
分類・形態 | 小高木・高木・果樹 |
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草丈・樹高 | 1.5m以上 |
開花の時期 | 5月~8月 |
花色 | 白・ピンク |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性・食用 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月中旬~4月 |
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植え替え | 3月~4月 |
剪定 | 3月~4月 |
肥料 | 3月・7月・10月 |
開花 | 5月中旬~6月 |
収穫 | 10月~12月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
年間通して日当たりがよく風通しいい場所におきましょう。
幼木の間は鉢植えにして冬場は室内で育てた方がいいでしょう。
また寒冷地の場合は冬場は寒さをしのげる場所へ移すなど寒さ対策が必要です。
水やり
乾燥を嫌うため水切れに注意しましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら鉢底から水があふれるほどたっぷり水を与えてください。
また夏場など暑い時期は涼しい時間帯の朝夕2回水やりをしましょう。
庭植えの場合は植え付け後、しっかり根付くまで水切れしないように水をあげましょう。
根付いた後は、暑い時期や乾燥が続いた時など葉や茎が少ししなっと元気がないようであれば水をあげてください。
肥料
鉢植えの場合は3月、7月、10月に有機質肥料を施しましょう。
木の生育があまりよくないような時は、即効性のある液体肥料を水やりの変わりにあげましょう。
庭植えの場合は3月と10月に有機質肥料を施してください。
用土
水はけの良い肥沃な土を好みます。
市販の園芸用培養土に赤玉土を混ぜこむか、赤玉土、腐葉土、川砂を混ぜたものを準備しましょう。
フェイジョアを育てるときのポイント
選び方
フェイジョアの実を収穫したい場合は、1品種で実がなる自家結実性が、2品種以上混植しないと実がならない品種かを確認しましょう。
自家結実性がある場合も根植する方が実の味わいがよくなります。
その際は、別品種と受粉するために開花期が同じ時期の品種であるか確認しましょう。
苗は幹の太さと樹高のバランスがとれているものを選びましょう。
また根が張り過ぎていたり、根鉢が乾きすぎていないものがいいでしょう。
植え付け建てて・植え替え
鉢植えの場合は、8~10号の大きさの鉢を準備しましょう。
水はけをよくするために鉢底ネットを置き軽石を1~2團入れた後に用土を半分ほど入れましょう。
そっと苗を置き、その上から土を苗を同じ高さになるまでいれましょう。
植え付け後はたっぷり水をあげてください。
庭植えの場合は、2品種以上植える場合は苗の間隔を3mあけましょう。
土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおき、50㎝ほど穴を掘り、苗の根を広げて植えましょう。
掘り返した土を戻してたっぷりと水をあげましょう。
またしっかり根付くまでは倒伏しやすいため、土上から60㎝ほどの支柱を立てましょう。
剪定
鉢植えのば愛は植え付けから3年ほどは特に剪定の必要はありません。
3年目以上に、枝や葉が込んできる部分を間引き剪定します。
庭植えの場合は、フェイジョアは根元から新芽が出やすくそのままにしておくと株立ちの形になりやすいため、2年目の冬に、土から高さ50㎝以下の枝を元から切り落としてください。
3年目の冬以降は2mの高さを保つように剪定しましょう。
また新芽が伸びる前の春や秋頃に枝が混み合っている部分は切り戻し剪定を行いましょう。
切り戻しすぎると班が咲かなくなるので注意してください。
受粉
フェイジョアは基本は自家結実性がない品種が多いため異なる品種を混ぜて育てることが多くなります。
その場合は人工授粉が確実ですので、人工授粉の方法を知っておきましょう。
時間帯は花が開花した直後の腫れた日の午前中が適切です。
毛ばたきなどを準備し、開いたばかりの花数輪から花粉を採取し、別品種の花の雌しべにこすりつけるように受粉させます。
増やし
挿し木や種まきの方法で増やすことができます。
挿し木の場合は6月頃に若く勢いのある枝を切取り育苗ポットに培養土を入れたものに挿します。
水切れしないように管理しながら発芽したら黒ポットに植え替えましょう。
種まきは収穫した果実から種を取り出し良く洗った物を陰干ししておきます。
清潔な培養土に種をまき、発芽するまで乾燥しない様に管理しましょう。
種まきの場合は、種まきから花が咲くようになるまでは5~6年かかりますので、栽培に慣れてきた頃に挑戦してみましょう。
収穫
フェイジョアの収穫は自然落下をまち、落ちたものから拾っていきます。
植えている場所が固い場合は、落ちた時の衝撃を和らげるためにわらなどを敷くといいでしょう。
枝についた実をそっと持ってみて簡単に取れるようであればそのまま収穫しても問題はありません。
収穫後は15~20度の室温で3~10日ほど追熟させたほうがおいしく食べることができます。
追熟後は冷蔵庫に入れることで長期の保存が可能です。
気を付けるべき病気・害虫
害虫
カイガラムシ
幹に白い塊がついていたら、歯ブラシなどでこすり落として早めに対処しましょう。
コウモリガ
秋に幼虫が幹や枝に入り食べ、被害が大きくなると株に勢いがなくなり枯れてしまいます。
大量の木くずをだし、幹に木くずと糞と糸で作った塊を作るため、発見し次第すぐに駆除するしましょう。
殺虫剤・殺菌剤
コウモリガ専用薬剤が有効です。