
アオダモは日本の山地に自生する樹木です。
幹が細く、枝葉が横に広がらず上へ向かって伸びるので中庭や玄関先の限られたスペースでも育てられることで人気です。
春先は花、初は涼しげな青葉、秋は紅葉と一年を通してさまざまな姿を楽しめます。
近年ではシンボルツリーとしても注目を集めているアオダモについてご紹介します。
アオダモの基本情報
学名 | Fraxinus lanuginosa |
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英名 | fraxinus lanuginosa |
その他別名 | コバノトネリコ |
科名 | モクセイ科 |
属名 | トネリコ属 |
原産地 | 日本・朝鮮半島 |
アオダモの特徴
アオダモは雨などで濡れると灰褐色の樹皮が青緑色に変化することや、切った枝を水に浸けると水が青い蛍光色になることが名前の由来とされています。
木質は硬いのに粘りがあるため曲げやすく、スポーツ用品や家具などに加工されます。
とくに国産材の木製バットのほとんどはアオダモが原料です。
日本では沖縄以外の全土に自生し、街路樹としてよく植えられます。
10m強と高く成長する割にスペースを取らず、幹が細く葉も付きすぎないので庭木にも適しています。
春はふわふわした白い花、夏には涼やかな葉、秋は紅葉と季節の移ろいを楽しめます。
枝が混みあわず剪定の必要があまりないので、自然な樹形がナチュラルガーデンにぴったりです。
アオダモの種類
アオダモには近似種が多く存在します。
どれも非常によく似ていて、細かく観察しないと違いがわからないほどです。
ヤマトアオダモ
日本の固有種です。
アオダモよりも大きく育ち、樹高は最大で25mほどになります。
花には花弁がないため開花してもよく見えず、アオダモのように鑑賞には向きません。
マルバアオダモ
アオダモとはっきりと差があるのは葉の形です。
アオダモは葉のふちがギザギザした鋸葉であるのに対し、マルバアオダモの葉には切れ込みがありません。
その葉の形が名前の由来になっています。
ミヤマアオダモ
枝先の芽がV字型になるのが特徴です。
名前の「ミヤマ」は漢字では深山と書き、本種のアオダモよりも標高の高いところに生息します。
アラゲアオダモ
枝や花序が毛に覆われているのが特徴です。
別名はケアダモで、毛が生えていることから付けされた名前です。
アオダモの栽培・育て方
アオダモは日当たりがよく水はけのよい土地を好みます。
しかし乾燥に弱いので日差しが強く当たって乾きやすい環境は避けるようにしましょう。
樹勢は弱くなりますが日陰でも育てられます。
日陰で育てたものは枝葉の数が少なくひょろっとした雰囲気になりますが、それはそれでわびさびを感じる風合いが素敵です。
鉢植え、地植えどちらでも育てることができます。
病害虫が少なく剪定もほとんど必要ないので手間がかかりません。
アオダモの育て方情報
分類・形態 | 庭木・落葉性広葉樹 |
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草丈・樹高 | 10m~12m |
開花の時期 | 4月~5月 |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | シンボルツリー・街路樹 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 1月~2月 |
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植え替え | 1月~2月 |
剪定 | 1月~3月 |
肥料 | 1月~2月 |
開花 | 4月~5月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場
水はけのよい土を好み、多湿を嫌います。
日当たりを好みますが、乾燥に弱いため西日のあたる乾きやすい場所は向きません。
半日蔭や明るい日陰なら水切れの心配が少なくなります。
鉢植えでも育てられるので、季節に合わせて移動してもよいでしょう。
水やり
乾燥にも多湿にも弱い傾向があります。
土が乾いたらしっかり水やりをする必要がありますが、真夏は蒸れてしまわないよう日中の水やりは避けましょう。
肥料
基本的には必要ありませんが、冬季に有機肥料や油かすなどを少量施すとよく春から育ちます。
用土
水はけがよく通気性のよい土を好むので、植え付けの際は土に腐葉土を3割ほどすきこみましょう。
温度
耐寒性・耐暑性ともに強いです。
紅葉を楽しみたい場合は、昼夜の寒暖差が大きい場所に植えるようにしましょう。
アオダモを育てるときのポイント
選び方
アオダモは山で採取したものをそのまま販売する「山採り」と業者さんが一旦育てて樹形を整えた「ふかし直し」があります。
山採りのものは野趣のある樹形、ふかし直しのものは整った樹形をしているので、好みや庭の雰囲気との兼ね合いで選びましょう。
植え付け
葉が完全に落ちている冬季におこないます。
根鉢の1.5倍ほどの穴を掘り、腐葉土など、通気を改善する材料をすきこんだ土で植えます。
剪定
それほど小まめに剪定する必要はありませんが、内側に向かって成長した枝で込み合うようなら間引きをしましょう。
枝の途中から切ると小枝が徒長するので、枝分かれをしている根元から切り落とします。
初夏には葉の根元に翌年の花芽ができます。
剪定の際は花芽のある枝を切りすぎないよう注意しましょう。
ふやし方
アオダモには翼果という羽のような形状をした実がなります。
種子が10月ごろに熟すので、それをそのまま植えましょう。
種は乾燥すると発芽しにくくなるため保管にはあまり向きません。
気を付けるべき病気・害虫
病気は特にありませんが、「テッポウムシ」と呼ばれるカミキリムシの幼虫による食害に注意が必要です。
木の根元におがくずのようなものが落ちていたら、テッポウムシの可能性があります。
株元に穴が開いているようであれば、そこに針金を差し込んで殺虫するか、穴に薬剤を注入しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
オルトラン・スミオチンが有効です。