モクレン(木蓮)の種類と栽培方法

春にきれいな紫色やピンク色、白色の大きな花をつけ、上向きに咲くのが印象的なモクレン。

庭木や公園樹として人気で、日本だけでなく中国や北米、ヨーロッパでも広く愛されています。

中国から古くに日本に渡来し、もともとは蘭の花に似ているとされ、「木蘭(モクラン)」と呼ばれていましたが、蓮の花の方が似ているということから今日では「木連(モクレン)」と呼ばれるようになりました。

今回は、古くから世界中の人を魅了するモクレンの特徴や種類、育て方などをご紹介します。

モクレン(木蓮)の基本情報

学名Magnolia quinquepeta・Magnolia liliiflora
英名Mulan magnolia
その他別名紫木蓮(シモクレン)・木蘭・ハネズ・モクレンゲ・マグノリア(モクレン属の植物の総称)
科名モクレン科
属名モクレン属
原産地中国

モクレン(木蓮)の特徴

モクレン属には多くの種類がありますが、一般的にモクレンというと、紫木蓮(シモクレン)を指すことが多いです。

強めの芳香を放つ花の特徴は、内側の色と外側の色が異なる点です。

内側は白、外側は紫色やピンクとなり、そのコントラストが魅力的です。

シモクレンの場合は、そこまで樹高が高くならず、3m~5mほど生長し、庭木としてよく栽培されます。

また、花後に付ける実も特徴の一つで、10cmほどの細長い実が上向きに付きます。

それが10月頃赤く熟し、一部が膨らんで割れます。

割れると、丸い玉のようなものが出てきて、その中に種子が入っています。
耐寒性と耐暑性に優れたモクレンは、あまり手がかからない点も人気の一つです。

モクレン(木蓮)の種類

モクレンというと通常、シモクレンを指しますが、ここでは、同じモクレン属に属するほかの種類を紹介します。

モクレン属の植物をまとめて、マグノリアと呼ばれます。
これはモクレンの英名から来ています。

マグノリアの種類には、シモクレン、白い花をつけるハクモクレン(白木蓮)、それに似た日本原産のコブシ、また黄色い花をつけるキンジュ(金寿)などがあります。
以下に詳細を紹介します。

ハクモクレン

白い大輪の花をつけます。

中国産で、樹高はシモクレンよりはるかに高く、10m~20mほどにもなる高木です。
ハクモクレンの花弁は9枚で、シモクレンは花弁が6枚です。

ハクモクレンは花が咲いたあと葉が出る種類ですが、シモクレンは、花と葉が同時に出ます。

コブシ

コブシは白い花をつけ、ハクモクレンに似ていますが、ハクモクレンよりも花が小さいので区別が容易です。
また、花の下に小ぶりの葉がつくのが特長です。

キンジュ(金寿)

少し緑がかった黄色い花をつけるモクレンの属の一種です。
黄花モクレンとも呼ばれます。

上向きの花をつけ、それが開き切るのが特徴です。

モクレン(木蓮)の栽培・育て方

モクレンは、剪定をしなくてもそれほど形を崩さずに育ち、水やりもほとんど必要なく、育てやすい樹木で庭木として人気があります。

ただ、株立ちしやすく横に広がりやすいので、十分な場所が必要です。
大きく生長するため、鉢植えやプランターには向きません。

広がりを考えて、直径3mほどの十分な広さのある場所を確保し、日当たりの良い場所に植えましょう。

モクレン(木蓮)の育て方情報

分類・形態庭木・花木・小高木
草丈・樹高3~5m(白木蓮は10m以上になる)
開花の時期4月~5月
花色紫・白・ピンク・赤など
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途落葉性・庭木・公園樹
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け1月~3月初旬
植え替え1月~3月初旬
剪定5月
肥料1月・5月・9月
開花4月~5月
収穫

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりが良く風通しの良い場所に植えます。
モクレンは、大きく生長してからの移植は難しいため、最初に植える場所をよく考慮することが大切です。

水やり

苗を植え付けたあと、しばらく定期的に水やりを行い、そのあとは降雨のみで問題ありません。
ただし、夏場の暑い時期は、午前中または夕方の比較的涼しい時間帯に水をあげると良いでしょう。

用土

土壌は肥沃で水はけがよいものであれば問題ありません。
耕した土に、堆肥を混ぜて使用します。

肥料

植え付け時に、緩効性化成肥料を混ぜておくと良いでしょう。
その後、1月・5月・9月に肥料を与えます。

モクレン(木蓮)を育てるときのポイント

モクレン(木蓮)の選び方

モクレンの苗木を購入する際は、幹が太く、枝ぶりが良いものを選びましょう。

植え付け・植え替え

植え付けおよび植え替えは、休眠期の1月~3月初め頃が適期です。
腐葉土に元肥を混ぜ、根を崩さないよう注意して植え付けます。

そのあとたっぷりと水やりを行いましょう。

剪定・切り戻し・収穫

ほうっておいてもそれほど形が乱れない樹木ではありますが、細かな剪定をすると、なおよい花つきになります。
モクレンは、横に広がって生長していくため、混みあった枝や重なり合った枝を整理したり、細かい脇枝を剪定したりします。

剪定は、秋から冬の間に行うのが良いでしょう。

ふやし方

モクレンは、挿し木でふやすことができます。

花が終わった6、7月に、新しく伸びた枝を10cmほど切り取ります。

先端の葉は数枚残しておき、枝の下の方をななめにカットし、水に数時間浸します。
それをきれいな土に挿し、日陰に置いて管理します。

その際、土が乾いてしまわないよう気を付けます。
しばらくして根付いたら、庭の植えたい場所に植え付けます。

気を付けるべき病気・害虫

病気の心配は特にありません。
害虫としては、カイガラムシやカミキリムシの被害にあうことがあります。

殺虫剤・殺菌剤

カイガラムシは、古い歯ブラシでこすり落とすことができます。

カミキリムシには園芸用キンチョールなどの殺虫剤スプレーを定期的に散布します。

また、病害虫の被害に合わないために、日当たりの良い場所、風通しの良い場所で育てることが重要です。