
養蚕のために、少し昔までは畑や道路わきでたくさん見ることができた桑の実。
子供の頃にそっとつまんで食べた記憶のあるかたもいるかもしれません。
現在、桑の実は西洋桑のマルベリーという名前で流通していて生食やジャム、果実酒のために改良された大きく甘い実が魅力となっています。
今回は、日本に昔からあったヤマグワよりも大きく甘い実をつけるマルベリーについて詳しくご紹介します。
桑の実の基本情報
学名 | Morus |
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英名 | Mulberry |
その他別名 | マルベリー・ミュール・どどめ |
科名 | クワ科 |
属名 | クワ属 |
原産地 | 日本 |
桑の実の特徴
桑の実の特徴・用途
桑の木は雌雄異株なので、雄花をつける木と雌花をつける木があり、雌花からはマルベリーとも呼ばれている桑の実が収穫できます。
桑の実は最初は緑色でだんだん赤くなり、完熟すると黒っぽくなるラズベリーに似た実です。
甘酸っぱくビタミンたっぷりの実は生でも食べられますが、果実酒やジャムとしても流通しています。
桑の実自体は傷みやすくほとんど流通することがないので、新鮮な実を食べることができるのは栽培している人の特権といえるでしょう。
また、昔から養蚕のために使われてきた桑の葉は大きなハート形でふちがギザギザしていてお茶としての利用もよく知られるようになってきました。
桑の花言葉
桑の花には「あなたのすべてが好き」「ともに死のう」などとてもロマンチックな花言葉がつけられています。
対して、桑の実には「私はあなたを助けません」「あなたより生き延びる」というとても不吉な花言葉がついています。
これは桑の実が緑から赤、黒へと色を変えていくため、血を連想させて死に近づくような不吉なイメージがあったらかです。
ネガティブな花言葉がついている桑ですが、長く人間にとって身近な樹木であったため太陽に関係する神聖な木としても見られてきました。
雷よけになるおまじないの「くわばらくわばら」も桑が由来となっています。
桑の別名
桑には「どどめ」という珍しい別名がついています。
関東や東北地方の方言でもあるどどめは、古来から桑の実のことを指し示しそれが転じて熟した桑の実のような青黒い色を指すようになりました。
桑の実の種類
マルベリーという別名で流通していることの多い桑の実。マルベリーは西洋桑で生食だけでなく、ジャムや砂糖漬け、果実酒としても楽しむことが出来ます。
日本で古来から養蚕に使われてきたのはヤマグワと呼ばれる品種です。
今回はマルベリーと呼ばれる西洋桑の品種をいくつかご紹介します。
マルベリー シャルロットリュス
寒さに強く、四季成りという珍しい特性を持つ品種です。
冬以外の季節すべてで実を収穫することができるので、たくさんの果実を楽しみたいかたにぴったりです。
大唐桑
通常の桑の実よりも、ひとまわり大きめの実をつける品種です。
早生の品種で、5月から6月に大きめの実を収穫することができます。
ホワイトベリー トルコ
珍しい白色の実をつける品種です。甘さと大きさがあるので生食でも楽しむことができます。
土壌の適応度が高く作られているので、やせた場所でも育つことができます。
白い実の桑には「知恵」という花言葉がつけられています。
カタネオ
小型の実をたくさんつけるので、ジャムや果実酒にぴったりな品種です。
イタリア原産で実の甘酸っぱさが魅力となっています。
桑の実の栽培・育て方
桑の実は雌雄異株ですが、果樹の中では比較的早く収穫できるようになるので初心者でも育てやすい樹木です。
品種によっては1本で実をつけるものもありますが、2本以上で植えたほうが収穫量が増えます。
生育が旺盛な桑の木は剪定することが重要で、放っておくと木が大きくなりすぎてしまうので注意しましょう。
桑の実の育て方情報
分類・形態 | 小高木・高木・果樹 |
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草丈・樹高 | 1.5m~3m |
開花の時期 | 4月~5月 |
花色 | クリーム色・黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性・生食・ジャム・果実酒・お茶・養蚕 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 9月~5月 |
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植え替え | 9月~5月 |
剪定 | 6月~7月 |
肥料 | 3月~6月・11月~12月 |
開花 | 4月~5月 |
収穫 | 5月~7月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日かげでも育てることができますが、より多くの実をつけるために日当たりの良い場所で栽培しましょう。
植木鉢でも育てることはできますが、成長が早い桑の木は大きくなりすぎてしまうことがあるのでいずれは庭植えにしましょう。
水やり
湿潤な土壌を好むので、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。
庭植えの場合は夏場で乾燥が続くとき以外は、ほとんど必要としません。
肥料
冬場の肥料は緩効性の有機肥料を、3月からの肥料は即効性の化学肥料を与えましょう。
冬場の肥料は、ゆっくり効果を発揮することで桑の木を成長させる要因となるので忘れないようにしましょう。
用土
桑の木は乾燥を嫌うので、腐葉土などを混ぜ込んだ土を使いましょう。
桑の実を育てるときのポイント
植え付け・植え替え
桑の木は草丈が大きくなりやすい樹木なので、植木鉢に植え付ける場合は矮性の品種を選びましょう。
耐寒性が強い桑の木は秋から春の間に植え付けることができますが、3月~4月の暖かい時期に植え付けるほうが丈夫に育ちます。
庭植えにする場合は、隣に違う品種の桑の木を植えると収穫量が増えます。
植木鉢で育てている場合は、大きくなるにつれて根も増えてくるので毎年ひとまわり大きめの鉢に植え替えるようにしましょう。
剪定
生育が旺盛な桑の木は、定期的に剪定を行うようにしましょう。
収穫後の6月から7月になるまでに混みあった枝を切り戻して、間引き剪定をしていきましょう。
伸びすぎてしまった場合は、冬場にも剪定を行うことができますがひかえめにしておきましょう。
ふやし方
2月から3月、もしくは6月から7月に挿し木によって増やすことができます。
20cmほどにカットした枝を上部の葉だけ残して切り落とし、挿し木用の土か赤玉土に植え付けます。
根付くまでは半日かげの場所で、水を切らさないように管理しましょう。
摘果
果樹が大きくたくさんつくマルベリーの品種は、実がつき過ぎると木が弱り病気にもなりやすくなるので適度に摘果しましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
熟して落ちた桑の実をそのままにしておくと病気が蔓延してしまうことがあるので注意しましょう。
害虫
特にありません。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。