梅の木の育て方・栽培方法のコツ【庭木としての管理方法も紹介】

まだ寒さの残る春の初めに赤や白の小ぶりの花を咲かせ、春のおとずれを告げる梅の木。
日本では古来より多くの和歌や短歌に登場し、梅の実は食用としても食卓に欠かせないものです。
盆栽としても人気がありますが、初心者でも育てやすく剪定に強いという特徴から庭木としても人気があります。

庭に植えて梅の花とともに春を感じてみませんか?
今回は梅の木の育て方から管理方法、品種について紹介します。

梅の木の基本情報

学名Prunus mume
英名Japanese apricot、Ume
その他別名
科名バラ科
属名サクラ属
原産地中国

梅の木の特徴

梅の木は中国を原産とする落葉高木です。
花を観賞する花梅と、果実を食べる実梅の木があり品種も数多く存在します。
梅の木は上手に育てれば樹齢なんと100年以上も育つ丈夫な木です。

また寒さや暑さに強く丈夫で育てやすい梅の木ですが、剪定にも強く上手に管理することで自分で好みの大きさや形に整えることができ盆栽や鉢植え、また庭のシンボルツリーとしても人気です。

梅の花の特徴

花は一重咲きと八重咲きがあり大きさも種類によって異なります。
花の色は白や赤やピンクの3色であり、特に白い梅の花は甘い香りが強いことが特徴で、花が咲く頃には梅の木がある周辺では甘く上品な香りを感じることができるでしょう。

梅の木の花言葉

梅の木の花言葉である「忍耐」は、まだ寒さが残り他の花が咲かない2月に花を咲かせる様子からつけられたとされています。
またもう一つの「忠実」という花言葉は、平安時代の菅原道真が、才能を疎まれ九州の大宰府に左遷されてきた際に菅原道真の元に梅の花が飛んできたことからつけられたという説があります。

梅の木は桜とならんで日本の風情や歴史を感じることのできる花木ですね。

梅の木の種類

梅の木の品種は約300種類以上もあり品種が多いことが特徴です。
分類法もいくつかありますが野梅系、緋梅系、豊後系の3つの系統に分ける方法が良く知られています。

野梅系

原種に近い梅であり枝が細くとげ状の小枝が多くあります。
葉は少なく毛がありません。
花は白または淡い紅色が多く、香りが高いことが特徴です。

紅冬至

中輪一重咲の淡い紅色です。
野梅から変化した原種に近い花梅です。

思いのまま

原種に近い花梅であり、一本の木から白とピンクの花が咲き、もしくは一輪の花の中で白とピンクに咲き分ける美しい品種です。

緋梅系

野梅系から変化したものであり枝や幹の内部がピンク色です。
花の色は紅色や緋色がほとんどです。
庭木や盆栽として使われます。

大盃

花の色は紅色の一重咲の大輪の品種です。

緋の司

花の色は紅色で八重咲の美しい品種です。

豊後系

梅の杏との雑種であり葉が大きく良く育つことが特徴です。
花の色はピンク色のものがおおくあります。

楊貴妃

花色はうす桃色で、八重咲の大輪の品種です。
花弁が波打つようなひだを作っていることが特徴です。

一の谷

花色は移り白(蕾の中はピンクであり、咲き始めは薄いピンク色だが日が経つと徐々に白色へ変化する)であり一重咲の小輪の種類です。

南高梅

花梅ではなく実梅です。日本で最も栽培されている品種であり、種が小さく梅干し用の最高品種です。
果実が非常に大きく柔らかいことが特徴です。
花は白色の一重咲の大輪です。

竜峡小梅

花梅ではなく実梅です。
小梅として最も多く生産されている品種であり、カリカリ梅の加工用としても有名です。
花は白色の一重咲であり、実は種が小さく小粒であることが特徴です。

梅の木の栽培・育て方

梅の木は丈夫で初心者の方でも育てやすい品種ではありますが、植える場所をよく選ばず管理をおろそかにすると枯れたり病気になる可能性があります。

特に梅の木の場合は剪定がポイントであり、剪定は形を整えるだけでなく花付や実付き、病害虫の予防にもなるためしっかりとおさえましょう。

梅の木の育て方情報

分類・形態小高木・高木・庭木
草丈・樹高3m~5m
開花の時期2月~3月
花色白・紅・ピンク
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途落葉性・シンボルツリー・食用
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け1月~3月・11月~12月
植え替え1月~3月・11月~12月
剪定1月~3月・11月~12月
肥料1月・4月・12月
開花2月~3月
収穫6月~7月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりがよく風通しがいい場所を好みます。
鉢植えや盆栽を室内で育てる場合は明るい場所が好ましいですが、直射日光が当たり過ぎると葉焼けを起こす可能性があるので直接日が当たらない明るい場所がいいでしょう。

水やり

鉢植え・庭植えともに植えてから2年以内は土が乾いた時点でたっぷり水をあげましょう。
2年以降は基本的に水やりは不要です。

肥料

鉢植えの場合は、開花後の4~5月にゆっくり効く緩効性化成肥料を根元にまきましょう。
庭植えの場合は12~1月頃に固形の油かすなど有機質の肥料を根元に埋めます。

用土

水はけがよく、有機質の多い土を好みます。
赤玉土(中粒)6に完熟腐葉土または樹皮堆肥4の割合で配合した土を準備しましょう。

梅の木を育てるときのポイント

選び方

幹が太く、根が太根だけでなく側根が多く根張りのいいものを選びましょう。

植え付け

11月~3月頃が植え付けに適した時期です。
ただし寒さが厳しい時はあまり植え付けに向いていません。
また花芽が付き始めていたら植え付けは避けて、花が咲き終わった頃に行いましょう。

植穴は苗よりも一回り大きい穴を掘り、植え付けた際に苗と土が同じ高さになるように調整して植え付けましょう。
植え付け後はたっぷり水をあげましょう。

剪定

植え付け後から1年目は苗木の成長を促すために、9月~11月頃に地面から30㎝~60㎝の高さに幹をカットしましょう。

植え付け後から2年目は12月~1月の間に幹から縦に伸びている枝を3本残して他の枝は切り落とします。
残した枝は更に3本ほど細い枝が伸びるように多い分が切り落とし、残した枝も3分の1ほどに長さをカットしましょう。

植え付け後から3年目までは12月~1月の1回のみです。
交差している枝や下向きに生えている枝などを切り落とします。

その後は、梅の木は7月下旬~8月頃に花芽が形成され始めるためにその前の6月~7月に不要な枝を剪定しておきましょう。
梅の枝は縦に伸びるものには花が付きにくく、横に伸びる枝に花が付きやすいという特徴があります。

そのため、横に伸びる枝は切り過ぎず木の形がピラミッド型になるようカットした後の樹形を想像しながらカットしてみましょう。

秋以降の落葉期に入ったら再度樹形を整えるために切り戻しを行います。
その際は、枝の付け根近くでカットすると花芽がつきにくくなるため枝の半分から3分の1ほど残して切り落としてください。

植え替え

鉢植えの場合は根詰まり予防のために、1~2年に1回、12月~3月の間に一回り大きい鉢に植え替えましょう。
植え替えの際は古く太い根は切り落としてください。

増やし方

挿し木、接ぎ木、種まきの方法でふやすことができます。
挿し木の場合は「休眠挿し」と「緑枝挿し」の2種類がありますが、この方法はとても難しく初心者の方はにはおすすめしません。

接ぎ木は、すでに根付いている土台の木に挿し木の枝を指して育てます。
種まきは梅の果実から採取した種を洗い冷蔵庫で保存しておいたものを7月~8月頃にまき育てる方法です。
育苗箱に赤玉土を暑さ15~20㎝ほど敷き、種の先端を下にした植え付けましょう。
その際は株間は5㎝ほどあけて種をまき、10~15㎝ほど上から土をかぶせてください。
発芽し苗が育ったら鉢や庭へ植え替えましょう。

気を付けるべき病気・害虫

病気

黒星病

黒星病とは糸状菌による病気で、葉や実に黒いシミのような斑点が現れ枯れていきます。
高温多湿の環境を好み、特に梅雨時期に発生しやすく一度かかるとあまり薬剤の効果は期待できないため、予防に予防薬を定期的に散布して感染予防に努めることが必要です。

害虫

アブラムシ

葉に寄生し、栄養を吸い取り弱らせる害虫です。
またアブラムシは繁殖力が強く、排泄物はすす病を誘発するため見つけ次第早めの駆除が必要です。

殺虫剤・殺菌剤

黒星病にはフルピカ、ダコニール、サルバトーレなどが有効です。

アブラムシにはオルトランがおすすめです。