
近年、健康食材として注目を集めている菊芋(キクイモ)をご存知でしょうか。
スーパーで目にする機会はまだそこまで多くありませんが、繁殖力が強くとても丈夫な性質をもった植物です。
比較的簡単に育てるられますよ。
今回は体に良いと評判の菊芋について、その特徴と育て方のポイントをご紹介します。
菊芋(キクイモ)の基本情報
学名 | Helianthus tuberosus |
---|---|
英名 | Jerusalem artichoke |
その他別名 | キクイモ・ブタイモ・アメリカイモ・サンチョーク・エルサレムアーティチョーク |
科名 | キク科 |
属名 | ヒマワリ属 |
原産地 | 北アメリカ |
菊芋(キクイモ)の特徴
菊芋(キクイモ)はその名の通り、黄色い菊のような花を咲かせる植物です。草丈は1~3m程にもなり、大きく育ちます。
食用にされる「芋」は、地下にできる「塊茎(かいけい)」と呼ばれる部分です。
この「塊茎」はショウガに似た外観で、栄養価が高く需要が高まっています。
菊芋の主成分は「イヌリン」。イヌリンは難消化性多糖類(水溶性食物繊維)で、腸内の善玉菌のエサになり様々な効果が期待されています。
じゃがいもなどと異なり、菊芋はデンプンをほとんど含みませんが、食材としては他のイモ類と同様に使うことができます。
例えば、以下のように多様なメニューに利用可能です。
- 炒め物
- サラダ
- 和え物
- スープ
- フライ
- グラタン
生だとシャキシャキ、加熱するとホクホクした食感が楽しめます。
菊芋は本来、日本で野生ではなかった外来種です。
繁殖力が非常に強い植物のため、環境省から「要注意外来生物」として指定されています。育てる場合は、野生化させないように気をつけましょう。
生の菊芋は日持ちしにくいという難点があります。他の芋と異なり、常温保存できません。
収穫した後は乾燥に気をつけながら冷蔵庫に入れるか、土の中で保存します。
土に埋めたまま忘れてしまうと、自然と繁殖し雑草化するおそれがあるのでご注意ください。
菊芋(キクイモ)の種類
キクイモモドキ
草丈は1m程度と菊芋(キクイモ)より小さく、芋(塊茎)ができない近縁種。小型のヒマワリのような花を咲かせます。
イヌキクイモ
外観は菊芋(キクイモ)によく似ています。7~9月に開花し、塊茎は食用に向きません。主に観賞用に花壇などで利用されます。
菊芋(キクイモ)の栽培・育て方
菊芋(キクイモ)は繁殖力が強く、丈夫な性質を持っているので、あまり手をかけなくてもよく育ちます。
菊芋(キクイモ)の育て方情報
分類・形態 | 野菜・多年草 |
---|---|
草丈・樹高 | 1~3m |
開花の時期 | 9月~11月 |
花色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 強健・食用 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月 |
---|---|
肥料 | 植え付けの際に元肥。追肥は特に必要なし |
開花 | 9月~10月 |
収穫 | 11月~12月 |
菊芋(キクイモ)栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所で育てましょう。草丈が高くなりますので、他の植物に影響がない広い場所に植えます。
風が強い場所だと倒れることがあるのでご注意ください。その場合は、支柱を立てるなどして対策します。
水やり
地植えの場合、水やりはほとんど必要ありません。自然に降る雨だけで大丈夫です。
プランター栽培の場合、土の表面が乾いたら、たっぷり与えます。
肥料
植え付けの際に元肥を施しましょう。追肥はあまり必要ありません。
用土
地植えにする場合は、畑の土をよく耕し、堆肥や元肥を入れる約2週間前に石灰を施します。
植え付けの1週間前に堆肥や元肥を施し、幅約80㎝の畝(うね)を作ります。なお連作には適しません。
プランター栽培の場合は、市販の野菜用培養土を用いるとよいでしょう。
草丈が大きく育つので深さ30㎝以上、直径40㎝以上を目安に、大きめのプランターを用意します。
菊芋(キクイモ)を育てるときのポイント
作業の流れに沿って育てるときのポイントを説明していきます。
1.土を準備する
「用土」の欄を参照して準備します。
2.種イモを用意する
園芸店等で、保存状態のよい種イモを購入します。ひとつ40~50gほどの大きさの種イモが良いでしょう。
3.植えつける
3月~4月、霜の心配がなくなってから植えつけます。
草丈が1~3mと大きく育つので、株間は50㎝~1mほど広く取ります。
穴を掘り、イモを置いたら土をかぶせ、軽く押さえます。植えつけた後はたっぷりと水を与えましょう。
種イモから確実に芽を出させたい場合は、ポットである程度育てて、苗の状態で植え付けると良いでしょう。
プランターの場合も同様に植えつけます。
4.中耕、土寄せ
花が咲く前の6月~7月頃に株元の周りの土を少し耕してほぐし(中耕)、土寄せを行います。同時に、周辺の雑草を取り除きましょう。
9月~10月頃に、菊に似た黄色い花が咲きます。花の開花後、地下のイモの部分(塊茎)が大きくなります。
草丈が伸び、倒れそうになったら支柱を立てて支えます。
5.収穫
11月~12月頃、地上の葉や茎が枯れてきます。霜が降りるようになったら、地上部を20㎝程残して刈り取り、11月下旬以降に収穫します。
収穫するときに、土の中にイモを残さないように気を付けましょう。
繁殖力が強いので、翌年自然に芽を出し増えてしまいます。雑草化すると、駆除が大変です。
気を付けるべき病気・害虫
特にありません。