
キンポウゲは鮮やかなレモンイエローの丸い花びらを5枚つけるとても可愛らしい植物です。
図鑑によっては、花びらが5枚の一重のものをウマノアシガタ、八重のものをキンポウゲと分類しているものもあります。
可憐な見た目ながら、毒性があり取り扱いにも注意が必要なキンポウゲ。
日本にも自生していて、あちこちの山野で見かけることができます。
繁殖しやすく、とても育てやすいのでたくさん群生している姿を探しに行ってみるのも楽しいかもしれませんね。
キンポウゲの基本情報
学名 | Ranunculus japonics |
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英名 | Butter cup |
その他別名 | ウマノアシガタ |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | キンポウゲ属 |
原産地 | 日本・中国・朝鮮半島 |
キンポウゲの特徴
丸い花びらにはつやがありまるで輝いているかのよう見えるキンポウゲ。
花びらにはでんぷん質が含まれているので、光を反射してキラキラと鮮やかな黄色に輝いて見えます。
毒成分は植物全体に含まれていて、特に花が咲いている時期は有毒性が強いといわれています。
皮膚にキンポウゲの汁がついただけでもかぶれてしまう場合があり、注意が必要です。
手袋や軍手などをして取り扱うと安心です。
また、誤って口に入れてしまうと下痢や嘔吐の症状を引き起こしますので安易にさわらないようにしましょう。
牛が間違って食べてしまったという事例もあります。
ペットや子供がいる場合は注意しましょう。
ドライフラワーの状態であれば毒成分は抜けていると考えられています。
昔からキンポウゲは漢方薬として使われてきた時期がありましたが、素人には扱いが難しく、現在は使用されていません。
キンポウゲは漢字だと金鳳花という字があてられています。
これは輝くような黄色の花がまるで鳳凰のようだったことからイメージされました。
また、英名ではButter cup(バターカップ)と呼ばれています。
これはキンポウゲがバターカップに似ていたからという説と、可愛い子供という英語ならではのスラングが由来だったという説があります。
キンポウゲの可愛らしい花姿から、子供を連想する考えは日本にもあり花言葉の「無邪気」や「子供らしさ」などにあてられています。
ほかの花言葉である「栄光」や「富」は花びらが黄金のように輝いていたことから連想されました。
「悪意」という花言葉は、キンポウゲが有毒だったことに由来しています。
キンポウゲの種類
キンポウゲ科はとても大きな科で、たくさんの植物が含まれています。
一般的にキンポウゲと呼ばれているのは、ウマノアシガタの八重の品種のものですが、ウマノアシガタも含めてキンポウゲとして分類している図鑑もあります。
キンポウゲ科にはアネモネやラナンキュラス、クリスマスローズなど有名な植物がたくさん分類されています。
その中でも、キンポウゲに近い品種をいくつかの品種をご紹介します。
ウマノアシガタ
キンポウゲの一重の品種で、日本の日当たりの良い山野に自生しています。
ウマノアシガタも、キンポウゲとして記載している図鑑もあります。
地面に近い葉が馬の蹄の形のようだったことから、この名前がつけられました。
ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)
関東から北の山岳地帯に生育している高山植物です。
草丈が30cmくらいあり、5枚の花弁をつけます。
エゾキンポウゲ
北海道の湿地や山野に自生しています。
キンポウゲやウマノアシガタよりも小ぶりの品種で、花びらも真ん丸というよりは少し縁にフリルがついています。
キンポウゲの栽培・育て方
キンポウゲは日当たりと水はけの良い場所を好みます。
増えやすいので、初心者でも育てやすいキンポウゲ。
有毒成分があることから園芸店などではあまり見かけませんが、愛好家は多く山野草としても愛されています。
キンポウゲの育て方情報
分類・形態 | 山野草・多年草 |
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草丈・樹高 | 30cm~60cm |
開花の時期 | 4月~5月 |
花色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 庭植え・山野草・増えやすい |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 9月~10月 |
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植え替え | 9月~10月 |
肥料 | 4月~10月 |
開花 | 4月~5月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所を好みます。
病害虫を防ぐためにも風通しの良い場所を選びましょう。
増えやすいので、広い場所に植え付けましょう。
鉢植えの場合は、梅雨の時期は軒下に入れてあげます。
水やり
植木鉢の場合は、土の表面が乾いたら与えましょう。
庭植えの場合は、ほとんど水やりを必要としません。
夏に乾燥が続く場合のみ、朝か夕方に与えましょう。
肥料
たくさんの肥料を好みませんので、春と秋に緩効性の化成肥料を与えるだけで十分です。
用土
水はけの良い場所を好みますので、庭植えの場合は植え付ける前に腐葉土やたい肥を混ぜ込んでおきましょう。
鉢植えの場合は、市販の園芸用土か山野草の土を用いましょう。
温度
キンポウゲは寒い地方では枯れてしまうことがありますが、種で増えていく植物なので次の年も花を咲かせることができます。
越冬できる気温の場所では、小さな草の状態で冬越ししていきます。
温度管理で特に気をつけるところはありません。
キンポウゲを育てるときのポイント
植え付け・植え替え
植え付けは秋に行いましょう。
冬越しした翌年の春に花を咲かせます。
鉢植えで育てている場合は、数年に一度、ひとまわり大きい鉢に植え替えましょう。
なるべく鉢の表面が広いものを選んで植え付けます。
根をほぐして植えるので、植え付けてからしばらくはたっぷりと水を与えてあげましょう。
切り戻し
種を採取しない場合は、花が終わったらこまめに切り戻すようにしましょう。
花数が増え、風通しがよくなるので病害虫の予防にもなります。
ふやし方
株分けで増やすことができます。
芽がついている株を確認して、ざっくりと分けていきましょう。
種まきでも増やすことができますが、花が咲くまでに数年かかることがありますので、じっくり待ちましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
軟腐病は多湿によって発生しやすいので、風通しを良くして予防しましょう。
害虫
アブラムシ、ナメクジ、ヨトウムシなどが発生しやすいので見つけ次第、駆除して必要があれば薬剤を散布します。
殺虫剤・殺菌剤
ベンレート水和剤やトップジンを病気の予防に使用します。
害虫にはスミチオン乳剤やマラソン乳剤を散布します。