
スミレは、身近な草花として古くから親しまれてきました。
淡い紫色の花色は「スミレ色」と色の名前になるほど、なじみ深いものとなっています。
小さな花びらを蝶のように開き、足元にたたずむ姿が清楚で、とても可愛らしいスミレ。
今回は、初心者でも育てやすいスミレについて、花言葉とともに紹介します。
スミレの基本情報
学名 | Viola mandshurica |
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英名 | Violet |
その他別名 | マンジュリカ |
科名 | スミレ科 |
属名 | スミレ属 |
原産地 | 日本・中国東北部から東部一帯・朝鮮半島 |
スミレの特徴
スミレには沢山の種類があり、その数は400種を超えると言われています。
春の訪れとともに身近な自然の中にその姿を見つけることができ、可憐な姿が愛されています。
自生するほど丈夫なので、初心者でも育てるのは難しくありません。
「スミレ」という名前はスミレ科スミレ属の総称として用いられることがあるので、パンジーやビオラを含む、仲間全体を指すこともあります。
しかし、パンジーやビオラは園芸用に品種改良を重ねたものであり、野性味のある「スミレ」とは異なります。
一般的に「スミレ」とは、パンジーやビオラなどの原種ともいえる、野草のグループを指していると考えましょう。
スミレの全体の花言葉は「謙虚 (modesty)」「誠実 (faithfuless)」「小さな幸せ」です。
道端にひっそりと咲く奥ゆかしさが表されています。
全体の花言葉とは別に、色別にも花言葉がありますので、ご紹介しましょう。
紫色
紫のスミレの花言葉は「貞節」「愛」。
西洋の花言葉では「白昼夢 (daydreaming)」「あなたのことで頭がいっぱい (You occupy my thoughts)」という意味もあります。
一途な愛情を連想させます。
青色
英名のみですが、「watchfulness (用心深さ)」「love (愛)」があります。
知的な印象がある青色は、思慮深さをイメージさせます。
黄色
「rural happiness (田園の幸福)」「つつましい喜び」です。
幸福を象徴する、明るい色ならではの、幸せな印象がある花言葉になっています。
白色
「あどけない恋」「無邪気な恋」「innocence (純潔)」「candor (率直)」です。
小さな白いスミレは淡い初恋を思い起こさせる可愛らしさをもっています。
ピンク色
「愛」「希望」です。
ピンク色が持っている、暖かい印象が込められた花言葉です。
スミレを贈ったり育てるときに、花色がもつ花言葉をイメージしてみると、楽しみが広がりそうですね。
スミレの種類
スミレには、沢山の種類があります。
代表的なものを以下にご紹介します。
アリアケスミレ
色合いが繊細で、白地に紫の脈が入っています。
スミレよりやや遅れて開花します。
花の名前は「有明の空」にたとえられてつけられたと言われています。
タチツボスミレ
日本全国の山野に咲きます。
花が終わると葉や茎が伸びだし、大きいと30㎝ほどにまでなります。
花色は淡い紫色、日本で一番よく見かけられるスミレです。
ニオイスミレ
草丈は2㎝ほどと小さいですが、名前の通り花から甘い芳香がします。
花色はピンク、白、薄紫などあります。
日陰を好み、湿り気のある土が適しています。
ヒメスミレ
草丈は5㎝程度、花は1㎝ほどと小さいスミレです。
根が太く長いので、小さな鉢に混み合って植えていると調子を崩して枯れやすいので注意しましょう。
ノジスミレ
花は青みが強く、少しよじれたように咲きます。
全体にうっすらと毛が生えていて、葉が横に広がります。
コスミレ
花つきがとてもよい品種です。
ときには株を覆うように咲きます。
草丈は5~10㎝と低く、葉は幅広で先がとがった形をしています。
マルバスミレ
花の色は白、または薄いピンクです。
明るい日陰で育ちます。
フイリゲンジスミレ
草丈は5㎝程度で、花の色は明るい赤紫色です。
葉は卵形をしており、銀色の筋が入ります。
明るく、水はけのよい日陰で育ちます。
トリアシスミレ
草丈は10㎝程度、花は3㎝ほどで、明るい紫色をしています。
2色咲きのものがよく栽培されています。
スミレの栽培・育て方
スミレは日本に自生する草花なので、特に手間をかけなくても花を楽しむことができます。
日当たりの良い場所で育ててあげましょう。
多年草ですが、2~3年で枯れてしまうことが多いので、長く楽しむためには種を採って株を増やしましょう。
スミレの育て方情報
分類・形態 | 山野草・草花・多年草 |
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草丈・樹高 | 10㎝前後 |
開花の時期 | 4~5月 |
花色 | 紫・ピンク・白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 花壇・鉢植え・盆栽向き |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 2~3月・9月 |
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植え替え | 2~3月・9月 |
肥料 | 2~10月(鉢植え)・9~10月(庭植え) |
開花 | 4~5月 |
収穫 | 開花後、夏から秋に種を収穫 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所で育てます。
鉢植えの場合、夏は半日陰に移すなどするとよいでしょう。
水やり
鉢植えの場合、表面の土が乾いたらたっぷり与えます。
庭植えの場合は、よほど乾燥が続かない限り必要ありません。
肥料
鉢植えの場合、元肥として、ゆっくり効くタイプ(緩効性肥料)を施します。
春から秋まで月2~3回薄めた液体肥料を与えます。
庭植えの場合はほとんど必要ありません。
与える場合は、9~10月に緩効性肥料を、株の周りに施します。
用土
根が深く伸びるので、鉢植えの場合は、深めの鉢に植えましょう。
土はあまり選びません。市販の培養土でいいでしょう。
水はけがよい方がいいので、鉢底に軽い石などを多めに入れましょう。
温度
寒さ、暑さに強いのであまり気にする必要はないでしょう。
スミレを育てるときのポイント
選び方
葉にツヤがあり、黄色く変色していないものを選びます。
根元から葉がしっかりつているかどうかも確認しましょう。
種まき
春か秋、暖かい日を選んで行います。
適温は20度前後です。
植え付け・植え替え
苗の植え付けは春(5~6月)か秋(9~10月)に行います。
植え替えは毎年行います。
夏の終わりから秋のはじめ、または2~3月に行います。
種まきや根伏せで育てた苗は、成長にあわせて適宜、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
剪定・切り戻し
花を長く楽しむためには、花が咲いた後、茎の根元から花がらを摘みます。
こまめに花がらを摘むと、シーズン中、次々に花が咲きます。
増やし方
種まき、株分け、根伏せで増やせます。
種まきは、1~2月、5~8月に行います。
種の発芽の適温は20度前後で、30度を超えると発芽しにくくなるので注意しましょう。
株分けは、植え替えのときにあわせて行います。
大きく育った株を分けて別の土に植えます。
根伏せの方法は、まず、若い根を5~6cmほど切り、切り口を鋭いカッターなどで切り直します。
親株と同じ用土に、切り口が見えるか見えないか程度に土をかけて植えます。
収穫
開花後に種が付きます。
株を増やす場合は採取しましょう。
まれに、花が咲いていなくても結実していることがある(つぼみの段階で自家受粉し結実する)ので、よく見てみましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
そうか病、うどんこ病に気をつけましょう。
そうか病は晩春~初夏、秋に発生することがあります。
茎や葉に白いかさぶた状のものができます。
予防には、雨を避けるようにします。
うどんこ病は5~8月に発生します。
葉の表面に白っぽい粉をかけたようなカビが生えます。
害虫
春にアブラムシ、夏はハダニに注意します。
ヨトウムシ、ツマグロヒョウモンの幼虫が春から秋に発生することがあります。
土の中にすむネコブセンチュウが発生した場合は、根が傷み、株の成長が悪くなります。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。