ホタルブクロ(蛍袋)の育て方|毒性はある?食べられる?種類についても解説

ホタルブクロは、初夏に釣り鐘状の花を咲かせる野草です。

もともとは土手や道端でも見かけることのできる野草ですが、見た目が美しいため園芸用としても人気を集めています。地下茎で簡単に増え育てやすいため、初心者にもおすすめの植物です。

ここではホタルブクロについて、特徴や育て方を解説します。

ホタルブクロの基本情報

学名Campanula punctata
英名bellflower・campanula
その他別名チョウチンバナ・トッカンバナ・アメフリバナ他
科名キキョウ科
属名カンパニュラ属
原産地日本(東北地方南部~近畿地方)・東アジア

ホタルブクロの特徴

ホタルブクロという名前は、子供が蛍を花に入れて遊んだことが由来といわれています。

繁殖力が強くいたるところで見かけ、また外見も印象に残りやすいため馴染み深く、別名がたくさんあります。有名な別名は以下のようなものです。

  • チョウチンバナ…見た目が提灯に似ているため
  • トッカンバナ…袋状の花を手で叩いて音を鳴らした
  • アメフリバナ…傘のように見えるため

宿根草で、花のあと地上部は枯れますが株は生きていて翌年また花を咲かせます。丈夫で育てやすいですが、強さゆえに芝生や花壇を侵食してしまうことがあります。

同じ科の植物であるキキョウには毒がありますがホタルブクロに毒性はなく、花や葉を食用されることがあります。

ホタルブクロの種類

ヤマホタルブクロ

ヤマホタルブクロ
ホタルブクロの変種です。ホタルブクロと非常に似ており、萼の形で見分けられるのみです。

イシダテホタルブクロ

徳島県石立山原産のホタルブクロ変種です。草丈が低く、10cmほどしかないのが特徴です。数が減っており、絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。

シマホタルブクロ

伊豆諸島に多く自生するホタルブクロの変種です。花が白色のみで、小型なのが特徴です。

カンパニュラ・サラストロ

別名青花ホタルブクロとも呼ばれる園芸品種です。原種にはない、キキョウのような鮮やかな青紫色が特徴です。原種のように地下茎で繁殖しないので増えすぎる心配がありません。

カンパニュラ・ビューティフルトラスト

別名白糸ホタルブクロとも呼ばれる園芸品種です。花弁が白く、釣り鐘状ではなく細く裂けているのが特徴です。"

ホタルブクロの栽培・育て方

育てやすく手間がかかりません。

日当たりを好みますが、暑さにやや弱く夏越しに注意が必要です。

地下茎でどんどん増え、他の植物を弱らせてしまうこともあります。あまり増えてほしくない場合は鉢植えにするか、地下茎が広がらないよう仕切りをして育てましょう。

ホタルブクロの育て方情報

分類・形態草花・野草・宿根草
草丈・樹高10~60cm
開花の時期5月下旬~7月
花色白・赤紫・紫
耐寒性強い
耐暑性普通
特性・用途日陰でも育つ・育てやすい
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け2月~3月
植え替え2月~3月
肥料4月~5月
開花5月下旬~7月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりのよい場所を好みます。日当たりが悪すぎると花つきが悪くなってしまうので注意が必要です。

しかし暑さに強くないので、夏場の直射日光が当たる場所では弱ってしまう可能性もあります。地植えの場合は半日陰や明るめの日陰がおすすめです。鉢植えにする場合は普段は日なた、夏は明るい日陰に置くのがよいでしょう。

水やり

地植えは基本的に水やりの必要はありません。雨が降らず乾燥が続いたときのみ水やりしましょう。

鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水やりをします。夏の水やりは蒸れてしまわないよう日中を避け、早朝か夕方におこないましょう。

冬季は休眠しているので水やりの頻度を減らしましょう。

肥料

施肥のしかたはどんなようすに育てたいかによって違います。

山野草としての素朴な風合いを生かしたい場合は、花が終わったあと化成肥料を施す程度にとどめましょう。花をたくさんつけたい、株を大きくしたいといった場合はしっかり施肥をします。

植え付け時には元肥をし、4~5月の生育期に液肥を月に2~3回、花後に化成肥料を施します。

用土

水はけのよい土であれば土質は問いません。地植えの場合は腐葉土をすきこむなどして水はけをよくしましょう。鉢植えの場合は赤玉土や鹿沼土をメインにしましょう。

温度

耐冬の寒さには強いですが、夏の暑さでは弱ってしまうことがあります。夏は直射日光に当てないよう注意しましょう。

ホタルブクロを育てるときのポイント

種まき

育苗箱に小粒の赤玉土化バーミキュライトを敷き、種をばらまいたあと薄く土をかぶせます。

種が小さいので流れてしまわないよう水やりには注意しましょう。本葉が2~3枚になったら植え付けをします。開花までは2年ほどかかります。

植え付け

新芽がつく前の2~3月が適しています。地植えの場合は土に腐葉土などをすきこみ水はけをよくしておきましょう。

植え替え・鉢替え

地植えは植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は根詰まりを防ぐため、1~2年に1回植え替えをしましょう。根鉢をほぐし、古い土はしっかりと落としてから植え付けをします。

ふやし方

種からも育てられますが、株分けのほうが簡単にできます。地下茎の先に子株ができるので切り分けて植え付けましょう。

種の収穫

ホタルブクロの果実は熟すると裂け、種がこぼれ落ちてしまいます。

種が非常に小さいため、こぼれたものを拾うのは困難です。果実が茶色く変色し始めたら早めに採取し、袋に入れて数日おけば確実に種がとれます。

種は保存袋に入れ、翌年の種まきの季節まで冷蔵庫で保管しておきましょう。

ホタルブクロに毒性はある?食べられる?

ホタルブクロに毒性はありません。
早春の柔らかい若芽や若葉、そして初夏に咲く花は食用として食べられます。

葉は少し苦味があるので、おひたしなどにする場合は茹でてから水にさらしてアク抜きをすると食べやすくなります。
若芽や若葉は天ぷらしてもいいでしょう。
花はクセがなくみずみずしいので、酢の物やサラダにして彩りを楽しむのがおすすめです。

気を付けるべき病気・害虫

丈夫なので病気は特にありませんが、ヨトウムシが花や葉を好んで食べます。非常に食欲旺盛な虫なので注意が必要です。

殺虫剤・殺菌剤

アセフェート、ピリダリル等がおすすめです。

殺虫剤に抵抗がある場合は濃い目のコーヒーを噴霧したり、コーヒーの出し殻を土に混ぜ込むのも効果的です。