リナリア(ヒメキンギョソウ・宿根リナリア)の種類や育て方

リナリアには一年草と宿根草の2つのタイプがあり、見た目が別の植物のように違います。

一年草のリナリアは草丈はそれほど高くなく、パステルカラーのかわいらしい花を旺盛につけます。

いっぽう宿根草のリナリアは草丈が高く、紫や白の花を穂状につける野性的でスマートな印象の花です。

なぜこんなに見た目が違うのか不思議ですが、好む環境や育て方はほとんど同じです。ここでは一年草・宿根草両方のリナリアについてご紹介します。

リナリアの基本情報

学名Linaria
英名(一年草)・Linaria purpurea(多年草)
その他別名ヒメキンギョソウ(一年草)・トードフラックス、ホソバウンラン(多年草)
科名オオバコ科
属名リナリア属(ウンラン属)
原産地北半球の温帯

リナリアの特徴

リナリアとして一般的に知られているのは一年草のほうです。

花色が豊富でパステル系の優しい色が多く、丈夫でたくさん花をつけるのが特徴です。

花の形が金魚草に似ていることから、別名「ヒメキンギョソウ」とも呼ばれます。一度植え付けると環境が合っていれば翌年以降はこぼれ種でどんどん増え、手間いらずなので初心者に向いています。

宿根草のリナリアは紫や白などの涼しげな色の花が多く、長く伸びた花茎の先に穂状の花を付けます。

一年草のリナリアが「お花畑」という言葉がぴったりのかわいらしさなのに対し、宿根草のリナリアは野性味のある美しさを持っています。イングリッシュガーデンでも好んで植えられ、一年草と区別するため「宿根リナリア」と呼ばれます。

これ以降では区別しやすいように一年草を「ヒメキンギョソウ」、宿根草を「宿根リナリア」と記述します。

リナリアの種類

ヒメキンギョソウ

リナリア・マロッカナ

「リナリア」としてポピュラーな品種です。草丈は30~50cmほどで、花色が非常に豊富です。

リナリア・グッピー

草丈20cmほどの矮性種です。草丈は低いですが花がたくさんつくのでボリュームがあります。ヒメキンギョソウは花弁の中心部が白いのが普通ですが、中心部が黄色い「イエローアイ」シリーズが人気です。

宿根リナリア

リナリア・アルバ

白い花と細く伸びる花穂が特徴です。花が小さく、宿根リナリアの中でも繊細な印象の種です。秋も花が咲きます。

リナリア・キャノンJウェント

小さな淡いピンクの花を付けます。茎や葉がシルバーで幻想的な雰囲気です。

リナリア・ブルガリス

比較的大きめの白~黄色の花を咲かせます。花期が長く、秋まで花が咲きます。

リナリア・エルギネア

宿根リナリアには珍しい匍匐性の種です。ナチュラルな花色が主流で、グランドカバーにも向いています。

リナリアの栽培・育て方

ヒメキンギョソウ・宿根リナリアどちらとも日当たりと水はけの良い場所を好みます。鉢植えでも地植えでも問題なく育ち、手間がかかりません。

開花期に咲ききった茎の切り戻しをすると花を長く楽しめます。暑さに強くないので、宿根リナリアの夏越しは風通しなどに注意しましょう。

リナリアの育て方情報

分類・形態草花・一年草・宿根草
草丈・樹高30cm~100cm
開花の時期3月~7月(一年草)・5月~7月(宿根草)
花色白・ピンク・黄・紫など
耐寒性普通(一年草)・強い(宿根草)
耐暑性普通
特性・用途一年草と宿根草の2種類がある・開花期が長い・ドライフラワー
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け4月(宿根草)・10月~11月
植え替え4月(宿根草)
肥料4月(宿根草)・10月~11月
開花3月~7月(一年草)・5月~7月(宿根草)

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりのよく、風通しのいい場所で育てます。過湿が苦手なので水はけのよい場所を選びましょう。

暑さにはあまり強くありませんが、ヒメキンギョソウは真夏を迎える前に花期が終わるので問題ありません。宿根リナリアは半日蔭に移動するなどの対処が必要です。

水やり

過湿に弱いので乾燥気味に保ちます。鉢植えの場合は表土が乾いたらたっぷり水をやりましょう。

地植えはよほど乾燥しない限り必要ありません。宿根リナリアは冬は休眠期なので、水やりの頻度を減らしましょう。

肥料

肥料はそれほど必要ありません。生育がよくないようであれば施肥する程度で十分です。

用土

水はけと通気性のよい土にしましょう。鉢植えであれば市販の培養土で問題ありません。または小粒の赤玉土、腐葉土、川砂やパーライトを6:3:1で混ぜたものを使用します。

酸性の土壌を嫌います。地植えの場合は植え付けの1~2週間前に土に苦土石灰を混ぜておきましょう。

温度

寒さには強いですが、暑さにはそれほど強くないため日本の夏では弱ってしまうこともあります。宿根リナリアは花が終わったら剪定して風通しをよくしたり、鉢植えなら半日蔭に移動したりと対策をしましょう。”

リナリアを育てるときのポイント

種まき

9月ごろにおこないます。非常に細かい種なので、重なりすぎないよう慎重に蒔きましょう。土はかぶせず日なたで管理します。種が流れないように水やりは霧吹きか底面吸水させましょう。

植え付け

10月ごろにおこないます。時期が遅くなると寒さで根が成長しづらくなり、うまく根付かないことがあります。
宿根リナリアは春にも植え付けができます。

剪定・切り戻し

ヒメキンギョソウは花がら摘みをしましょう。宿根リナリアは花が咲ききったら花茎を剪定すると脇芽が伸び、再び花が咲きます。

宿根リナリアは秋になると葉が落ち、新芽が伸びてきます。冬に花茎が枯れ始めたら新芽だけ残しすべて切ってしまいましょう。

ふやし方

ヒメキンギョソウ、宿根リナリアともに種で簡単に増やせます。こぼれ種でもどんどん増えます。

また、宿根リナリアは株分けでも増やせます。春におこないましょう。

冬越し

宿根リナリアは秋に新芽を出し、成長した葉は地面に近いところに密集して冬を越します。寒さには強いですが、不織布などをかぶせて霜よけをした方が無難です。

気を付けるべき病気・害虫

病気

あまり病気はありませんが、まれに若い苗のうちに立ち枯れ病にかかることがあります。過湿が原因なので、水やりのしすぎに注意しましょう。

害虫

イモムシやアブラムシがつきます。見つけ次第取り除くか、薬剤で処置しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

有効成分ペルメトリン・ミクロブタニルの殺虫剤がイモムシ・アブラムシ両方に効果を発揮します。