野の花「オオイヌノフグリ」の育て方|名前の由来・別名と花言葉も紹介

早春に土手や空地などで見られるオオイヌノフグリ。
まだ緑もまばらな季節に、小さいながら鮮やかなコバルトブルーの花を咲かせている姿はとても健気です。
かわいらしいオオイヌノフグリですが、ちょっと変わった名前の由来があることはご存じでしたか?
ここでは身近な野草であるオオイヌノフグリについて、育て方や雑学をご紹介します。

オオイヌノフグリの基本情報

学名Veronica persica
英名Persian speedwell・Birdeye speedwell・Large field speedwell
その他別名瑠璃唐草・星の瞳・バードアイ
科名オオバコ科
属名クワガタソウ属
原産地ヨーロッパ

オオイヌノフグリの特徴

オオイヌノフグリはヨーロッパが原産の越年草で、明治時代に日本に帰化しました。
繁殖力が強く、現在では日本を含め世界各地に広がっています。

オオイヌノフグリの「フグリ」とは陰嚢のことで、実の形が犬の陰嚢に似ていることが由来です。
かわいらしい見た目には似つかわしくない名前ですね。しかし「瑠璃唐草」や「星の瞳」という別名もあり、こちらはオオイヌノフグリの青色にちなんだ素敵な名前になっています。

また、学名のVeronicaは聖書に登場する聖女ヴェロニカとつづりが同じで、西洋ではイヌノフグリをヴェロニカの草とも呼びます。
聖女ヴェロニカは十字架を背負ったキリストに汗をぬぐうようにと、身につけていたヴェールを差し出したといわれる女性です。
花言葉の忠実・信頼・清らかは彼女にちなんだものです。

オオイヌノフグリの種類

ここではオオイヌノフグリの近縁種と、似ている花をご紹介します。

イヌノフグリ

花は紫がかったピンク色をしています。
花や葉が小さく、オオイヌノフグリの1/2~1/3程度の大きさです。
日本の在来種ですが、オオイヌノフグリに生育地を奪われ数が減っています。
現在では環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

タチイヌノフグリ

花は色、形ともイヌノフグリそっくりですが花が小さく、直径約2mmほどしかありません。
花も午前中の短い時間だけ咲いて落ちてしまうので、見つけにくい植物です。
イヌノフグリは横に広がるのに対し、茎がたってまっすぐに伸びることが名前の由来です。

フラサバソウ

別名ツタバイヌノフグリともいいます。
イヌノフグリに似ていますが花が小さく、直径5mmほどです。
葉や茎の表面を白い毛に覆われています。
分布は西日本が中心で、東日本ではあまり見られません。

ネモフィラ

和名が同じ瑠璃唐草であることや花の様子が似ていることからオオイヌノフグリと間違われることがありますが、
科や属の全く違う別種です。
ネモフィラはムラサキ科ネモフィラ属の1年草で、野草ではなく園芸品種です。

オオイヌノフグリの栽培・育て方

非常に繁殖力の強い野草なので種をまけばそのまま育ちます。
とくに気を付けなければいけないことはありません。

ただし丈夫で増えすぎてしまう可能性もあるので、周囲の植物への干渉に注意しましょう。

オオイヌノフグリの育て方情報

分類・形態野草・越年草・宿根草
草丈・樹高10cm程度
開花の時期2月~5月
花色青(白や紫がかることもある)
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途野草・宿根草・繁殖力が強い
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け9月~10月(種まき)
開花2月~5月

栽培に必要な準備・環境

必要なもの

鉢植えの場合は平型のものを用意しましょう。

日当たり・置き場所

日当たりのいい場所を好みます。
丈夫なので日陰でも育ちますが、日陰で育てたものは葉ばかりが大きくなり、花は少なくなります。
また、日当たりがよいほど花の青色が濃く鮮やかになります。

水やり

地植えの場合はほとんど必要ありません。
雨が全く降らない日が続いて、ひどく乾燥しているようであれば水やりする程度で大丈夫です。

鉢植えの場合は土が乾いたら水やりしましょう。
こちらもそれほど小まめでなくて大丈夫です。

肥料

特に肥料は必要ありません。

用土

地植えの場合はそのままで問題ありません。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土が簡単でおすすめです。

温度

耐寒性は強く、霜がついても弱ることはありません。
開花温度は15℃ほどです。
地表に広がるように生えるので、気温が低くても地表の温度が高くなれば開花します。

オオイヌノフグリを育てるときのポイント

種まき

種は一般の園芸店では販売されておらず、ごくまれにインターネット通販で見かける程度です。
自生しているものから種を取るのが簡単で確実な方法です。
種は5月~7月ごろに採取できます。
オオイヌノフグリの実は蒴果なので、種が成熟していると指で軽く押すだけで実が裂け、種が飛び出します。

採取した種は9月~10月ごろに蒔きましょう。
そのまま地面や鉢に撒くだけで大丈夫です。

植え付け

種同様、販売されているものは少ないので自生しているものを採取して植え付けましょう。
ただし、たとえ雑草であっても無断で植物を採取することは違法にあたり、罰せられる可能性があります。
あらかじめ管理者に許可を取ってから採取することをおすすめします。

鉢替え

基本的には必要ありませんが、増えてきて鉢が狭くなった場合は植え替えます。
根を横に張って広がるので、平たい形の鉢がおすすめです。

夏越し・冬越し

宿根草なので夏になると枝葉は枯れますが株は生きているので、秋に再び発芽します。
冬は体内に糖分を蓄え凍結に耐えるので特に対策する必要はありません。

気を付けるべき病気・害虫

生命力が強いため、注意すべき病気や害虫は特にありません。

殺虫剤・殺菌剤

特にありません。