次から次に収穫できるお得な野菜、わけぎ【料理方法と栄養、育て方】

わけぎはソバや冷ややっこなどの薬味に欠かせない小口ネギの仲間です。

球根植物で、主に西日本でよく育てられているわけぎ。
ネギと球根野菜のエシャロットの交雑種と考えられています。

細いネギの茎をまっすぐ伸ばすわけぎは、一年に何回も収穫することができるお得な野菜なので、ぜひ栽培してみてください。

わけぎの基本情報

学名Allium wakegi
英名Walking onion、wakegi green onion
その他別名千本(チモト、センモト)、ビラ、フユキ
科名ユリ科
属名ネギ属
原産地ギリシア、中国

わけぎの特徴

わけぎにはWaliking onionというおもしろい英名がついています。
これはわけぎが成長すると茎の先に小さな球根のようなものをつけ、それが地面について新しく苗になっていく様子からつけられました。

別名である千本やビラは、九州と沖縄の方言です。
わけぎは西日本で主に栽培されていて、その中でも広島が60%以上を占めています。
関東地方ではあまりなじみのないわけぎですが、球根を購入してプランターなどで育てることも可能です。

わけぎには青い茎を薬味として使う料理法の他に、掘り上げた球根部分である鱗茎を食べることもできます。
小さな玉ねぎのような鱗茎は、玉ねぎと同じようなスープや炒め物のほかにピクルスとして酢漬けにする保存法もあります。
ネギ特有の香りや辛みがマイルドなわけぎは、卵とじやチジミに入れてもおいしく食べられます。

また、わけぎの名産地では「ぬた」という料理法もメジャーです。
さっとゆでたわけぎを酢や砂糖、白みそであえて食べるぬたはシャキシャキした触感が心地よい料理です。
わけぎにはベータカロチンやビタミンが豊富に含まれています。
食べたいときに、さっと庭から収穫できるわけぎはお手軽な家庭菜園にもぴったりな野菜です。

わけぎの種類

園芸店やホームセンターなどではあまり多くのわけぎの品種を目にすることはありませんが、生産量が大きい広島や九州などではいくつかの品種が栽培されています。
わけぎととても良く似た見た目の分け葱という野菜もあります。

また、あさつきという野菜もわけぎと似ていて混同されがちです。
そんなわけぎに近い品種もあわせていくつか栽培します。

ワケギ12号、ワケギ13号

わけぎの品種の中でも、早生の特徴があり植え付けてから1か月ほどで収穫が可能です。成長が早く、根元のふくらみも小さいのが魅力です。

木原早生

広島で主に栽培されている品種で、寒さ知らずと言われるほど耐寒性が強く早生の特性があります。

あさつき

あさつきは古くから日本に自生していた植物で、主に東日本で栽培されています。わけぎと同じように鱗茎と地下茎で増えていきます。独特の香りと辛みがあるあさつきは薬味としても、おひたしとしても人気の野菜です。

分け葱

葉ねぎの一種で、株分けにより増えていきます。また、わけぎと異なり球根ではなく種で増やすこともできます。

わけぎの栽培・育て方

わけぎは夏の終わりに球根を植えて、秋には収穫できる栽培期間の短い植物です。

地面から数センチを残して収穫すると、一か月くらいでまた伸びてきて収穫することができます。
最初の収穫が終わったら、追肥をすることが何度も収穫するためのポイントです。

わけぎの育て方情報

分類・形態球根・多年草
草丈・樹高25cm~30cm
耐寒性普通
耐暑性弱い
特性・用途薬味、食用、プランター、庭植え
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け7月~9月
肥料8月~11月
収穫3月~5月、10月~11月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりの良い方が青々とした良い苗が収穫できます。風通しを良くすることで、病害虫を防ぐことができます。苗が混みあってきたら、6月に掘り上げて球根を乾燥させてから植えなおしましょう。

水やり

土の表面が乾いたら、朝か夕方に水やりをします。冬は地上部がなくなりますが、鉢やプランターの場合は数日に一回は水やりをしましょう。

用土

野菜用の培養土が適しています。庭植えの場合は、石灰で酸性度を中和したあと、腐葉土やたい肥を混ぜ込んでから植え付けましょう。

肥料

生育期である夏から秋にかけては、緩効性の化学肥料や野菜専用肥料を与えましょう。冬になる前にたい肥をかぶせるようにして与えておくと、翌年の生育が良くなります。

温度

わけぎの成長に適した温度は15℃から20℃です。真冬になると休眠期になるので、プランターや鉢植えは日当たりのいい軒下に移動しましょう。根元の近くで収穫してから冬越しします。

わけぎを育てるときのポイント

植え付け・植え替え

夏に球根で販売されていることが多いわけぎ。寒冷地では7月に、暖地では8月~9月に植え付けましょう。苗が混みあってきたら植え替えが必要ですが、場合によっては6月に球根を掘り上げて新しく植え付けるとよいでしょう。

ふやし方

夏の終わりに球根を植え付けて収穫を繰り返すわけぎ。翌年の春にも伸びてきた茎を収穫することが可能です。5月から6月になったら球根を掘り上げて、風通しの良い日かげで保管しましょう。球根は大きくなって分球することができるので、だんだん増やしていくことが可能です。

収穫

草丈が20cm以上になったら、地際から数センチを残して収穫します。収穫した際に、液肥などの追肥を与えて、苗がぐらつかないように土を寄せておきましょう。

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気を付けるべき病気・害虫

萎縮病やうどんこ病は風通しを良くして予防しましょう。

ハダニ、アブラムシは見つけ次第、薬剤を散布しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

害虫にはアーリーセーフやベニカ系の野菜用のスプレーを使用しましょう。