
ひょうたんのような形をした補虫袋がユニークな食虫植物ウツボカズラ(ネペンテス)。
南国をイメージさせる個性的な見た目が魅力的で、最近ではホームセンター等でも売られるようになってきました。
今回は、ウツボカズラの植え方、育て方など栽培方法から挿し木による増やし方まで、詳しく紹介します。
ウツボカズラの基本情報
学名 | Nepenthes rafflesiana |
---|---|
英名 | Nepenthes |
その他別名 | ネペンテス・ヒョウタンカズラ |
科名 | ウツボカズラ科 |
属名 | ウツボカズラ属 |
原産地 | 熱帯アジア・マダガスカル・セーシェル諸島・ソロモン諸島・ニューカレドニア・オーストラリア北部 |
ウツボカズラの特徴
ウツボカズラ(ネペンテス)は、主に東南アジアに分布している植物です。
原種は90種以上あると言われ、ひょうたん形をしたピッチャー(補虫袋)の色や形、大きさは品種によって実に様々。
交配種が多く作られています。
ウツボカズラの最大の特徴は、何と言っても食虫植物であることです。
食虫植物とは、虫を誘い、捕らえた後、消化して養分を吸収し育つ植物を指します。二枚の葉で虫を挟み込んで捕らえるディオネア(和名:ハエトリソウ)や葉の表面の粘り気で虫を捕らえるドロセラ等が知られています。
ウツボカズラは、ピッチャーとも呼ばれる補虫袋を落とし穴のように使って虫を捕らえるタイプの代表的な食虫植物になります。
ピッチャーは、実は葉が変化したもの。中には水がたまっており、滑り落ちた虫はまず溺れて死にます。
ウツボカズラはこれをゆっくりと時間をかけて消化液で溶かし、栄養を吸収するのです。
食虫植物は、育てるために虫を与えないといけないわけではありません。
栄養の乏しい土地で生き残るために、虫を捕らえ養分とする特徴が備わっただけで、光合成で十分育ちます。
温度と湿度に関しては高めに保つ注意が必要ですが、もともと厳しい環境で育つ植物なので、特別な肥料を必要としません。
ウツボカズラには雄株と雌株があり、株が成長すると6月~7月に小さな黄色い花が咲きます。
しかし、花は1㎝にも満たない小さなもので、虫を引き寄せる魅力はピッチャーに到底及びません。
鉢植えにして、通年眺められるユニークな姿、楽しんでみませんか。
ウツボカズラの種類
ウツボカズラには様々な品種があります。代表的なものをご紹介します。
ネペンテス・アラータ(和名:ヒョウタンウツボカズラ)
よく流通している普及種です。
暑さ、寒さ、乾燥に比較的強い品種で、初心者向きです。
ピッチャーの長さは10~15cm程度になり、先端部が赤みを帯びます。
ネペンテス・ラフレシアナ(マレー半島、スマトラ島に分布)
ウツボカズラの代表的な品種です。
常緑のつる性で、ピッチャーに点々の模様があります。
ネペンテス・ソレリー(タイ、カンボジア、ベトナムに分布)
小型種です。
ピッチャーが赤い色をしています。
ネペンテス・マキシマ(ボルネオ島、セレベス島、モルッカ島に分布)
大型で、丈夫な品種です。
ピッチャーの長さは20~30㎝にもなります。
ネペンテス・アンプラリア(別名:レッドフォーム、和名:ツボウツボカズ)
丸みを帯びた形が可愛らしい、小型の品種です。
寒さにやや弱い特徴があります。
ウツボカズラの栽培・育て方
熱帯アジアが原産のウツボカズラは、年間を通じて高温多湿の環境で育てる必要があります。
耐寒性が弱く、日本の冬の寒さには耐えられないので、室内に取り入れるなど対策します。
湿度も一年中高い方が好ましいので、霧吹きなどでこまめに保湿してやりましょう。
ウツボカズラの育て方情報
分類・形態 | 観葉植物・熱帯植物・食虫植物・多年草 |
---|---|
草丈・樹高 | 10~200㎝ |
開花の時期 | 6月~7月 |
花色 | 黄 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性・つる性・ハンギングバスケット |
栽培難易度 | やや難しい |
栽培スケジュール
植え付け | 6月~8月 |
---|---|
植え替え | 6月~8月 |
肥料 | 7月~9月 |
開花 | 6月~7月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
四季がある日本では、ウツボカズラに適した日当たりや置き場所が季節によって異なります。
春~秋は、気温20℃以上の暖かい戸外で育てます。
日当たりの良い場所が適しています。
夏は風通しが良く、直射日光が当たらない、終日明るい場所が適しています。
強い直射日光に当たると葉が傷んだり、株が弱ったりします。
遮光ネットや寒冷紗などで30~50%遮光してあげましょう。
冬は室内に取り込み、ガラス越しによく日光が当たる場所で育てます。
最低温度15度以上が必要です。空中の湿度を保ちながら育てます。
夜間に冷え込むことがあるので、ダンボールで覆うなどし、保温します。
年間通して高い温度と湿度を保つ必要があるので、温室が用意できれば最適です。
アクアリウム用の水槽にガラスのふたをして(保湿)、水草育成用のLED照明をつけて栽培すれば、外光がささない室内でも飾りながら通年育てることが可能です。
水やり
水苔に植え付けた場合は、水苔が乾いてきたら水をたっぷり与えます。
常に水苔が適度に湿っている状態を保つようにしましょう。
用土に植えつけた場合、植えつけた用土の表面が乾いたら、たっぷり水やりします。
秋~冬、気温が下がってきたら水やりは少し控えめにします。水のやり過ぎで根腐れを起こすことがあるので注意しましょう。
ウツボカズラは周辺の湿度が高い状態を好みます。
霧吹きなどを使い、年間を通して葉や茎に直接水をかける葉水をこまめに行いましょう。
肥料
ウツボカズラはあまり多くの肥料を必要としません。
与える場合は、生育期に当たる夏に、緩効性化成肥料を月に1回のペースで施します。
または、速効性がある液体肥料を10日に1回与えてもよいでしょう。
用土
水苔を使います。
外国産の水苔が市販されています。
食虫植物の専用土を利用してもいいでしょう。通気性と保湿性に優れ、弱酸性の性質をもっています。
土を配合する場合は、赤玉土小粒6:軽石小粒2:ピートモス2の割合で混ぜ合わせます。
鹿沼土、ココナッツファイバーなども利用できます。
温度
気温25~30℃、湿度80%以上を保つとよく育ちます。
ウツボカズラを育てるときのポイント
選び方
ウツボカズラは種から育てるのが難しく、苗を購入して栽培します。
初夏以降、暖かい季節になると園芸店で流通します。ピッチャーがついているものを選びましょう。
ピッチャーがついていれば、元気な株の証拠です。
また、葉にツヤがあり、ピンとしているもの、全体的に元気のよい苗を選びましょう。
病害虫の跡がないかどうかよく確認します。
植え付け
最低気温が20℃を超えてくる5月~7月が適期です。
苗を購入してきたら、すぐに植えつけるようにします。ウツボカズラは鉢植えで育てます。
吊り鉢に植えたり、高さのあるスタンドに鉢を置いて、ピッチャーを垂らして育てると良いでしょう。
吊り鉢以外には、通気性のよい素焼きの鉢が適しています。
ウツボカズラの根は細く、とても繊細です。
傷つけないように丁寧に取り扱いましょう。
水苔に植えつける場合、まず水苔の準備をします。
乾燥した水苔を熱湯につけ、消毒します。
このとき、火傷しないよう気を付けましょう。
水苔がふやけたら、水にとって冷まし、軽く絞って使用します。
鉢底に軽石を敷いておきます。
購入してきたウツボカズラの苗をポットからそっと取り出し、古い土をある程度取り除きます。
根がとても繊細で弱いので、傷つけないように丁寧に作業しましょう。
枯れた下葉なども同時に取り除きます。
軽く絞った水苔で、根の周りをそっと巻いて包みます。
ゆるゆるにならない程度に優しく包みます。
用意した鉢に水苔で根元を巻いた株を入れ、周りにさらに水苔を入れます。
倒れないように隙間なく入れ込みましょう。
しばらく置いて、水苔がやや乾いたら水を与えます。
剪定・切り戻し
気温が高い6月~8月が適しています。
伸びすぎた部分をカットしましょう。
傷んだ葉や花穂があれば、適宜取り除きます。
植え替え・鉢替え
5月~6月が適期です。
1年に1回は水苔を新しくします。
植え替えの直後は、明るい日陰で約1週間置きましょう。
植え付けの時と同じ手順で、根を傷つけないように丁寧に作業します。
植え替えの際、根が腐敗していたら、その部分は切り落としましょう。
ふやし方 伸びすぎたウツボカズラはカットしよう
ウツボカズラは挿し木で増やすことができます。
春~初夏が挿し木の適期です。
根が出るまで、約1ヵ月ほどかかります。
挿し木の手順は以下の通りです。
- 伸びすぎたウツボカズラを、葉を1枚以上つけた状態でハサミで切ります。葉を半分にカットします。これは、葉から水分が蒸発してしまうのを防ぐためです。
- カットした挿し穂はしばらく水の中に入れて吸水させておきます。
- 透明な瓶やペットボトルを用意して水を張り、用意した挿し穂を挿します。あるいは、水苔や専用土に挿してもいいでしょう。挿し穂を水苔や専用土に挿し、容器に入れます。
- 温度・湿度に気を付けながら管理します。
- 発根したら、新しい用土に植えつけて育てます。
ウツボカズラの葉が枯れる原因
枯れる原因として多いものは、温度不足と湿度不足です。
そのほかには、食虫植物のため、意図的に虫をあげすぎてしまい枯れてしまうという事例も見られます。
- 適切な温度は15度から20度
- 虫は自然にはいる程度が適度
を目安に育てていきましょう。
ウツボカズラはネズミも溶かす!?消化液
ネペンテス・ラジャやネペンテス・アッテンボロギなどの大型ウツボカズラは、虫だけではなくネズミも溶かすといわれることがあります。
これは、ネズミなどの哺乳類が袋の中に偶然落ちて溺れ、ネズミの死体が時間をかけて腐っていきます。
このことでウツボカズラはネズミも溶かすと思われがちですが、腐っただけのことです。
ウツボカズラの消化液が、ネズミも溶かすほど強力ということではありません。
気を付けるべき病気・害虫
ウツボカズラは目立った病害虫のない植物ですが、株が弱ってくるとまれに発生することがあります。
病気
炭そ病、褐色斑点病に気をつけましょう。
害虫
カイガラムシ、ハダニ、センチュウにご注意ください。
殺虫剤・殺菌剤
害虫のカイガラムシやハダニに対して薬剤を撒く場合は、気温が30℃以上の高い時期は避けましょう。
ウツボカズラの葉に薬害が出ることがあります。
根に寄生するセンチュウが発生した場合は、駆除の方法がありません。
年に1回の植え替えで水苔や用土を新しくして予防しましょう。
みんなのウツボカズラ フォト

ネペソテス アラータ
狂気令嬢「アラータ」というネーミングに惚れて購入しました。これから初めての冬なので、屋内に移して管理していこうと思っています。

ウツボカズラ ベントラータ
2年目に植え替えをして、日当たりと毎日の水やりに気を付けている。また、下に垂れ下がるので高さが出るように鉢を2段重ねにしている。来年はもう少し細長い鉢を買ってきれいに育てたい。

ウツボカズラ ネペンネス
常に水苔を湿らせておくことに気を付けています。ツボが枯れ始めたらすぐに切除することで体力の消耗を防ぐことが出来ます。

ウツボカズラ ミランダ
初めて育てたウツボカズラなのですが、一度植え替えたら枯れてしまい、ダメかと思っていたのですがツヤツヤに復活してくれました!

ウツボカズラ ネペンテス
春?秋は日当たりの良い場所が適しています。直射日光は避けるように工夫して育てています。ベランダなどが適していると思います。

ウツボカズラ ネペンテス・アラタ
水は毎日あげています。以前3日くらい水をあげ忘れてしまった時は葉っぱが乾燥してよれてしまったような感じになったので、忘れずにあげています。脇芽が出て成長してきたら切って他の鉢に移動しています。

ウツボカズラ ネペンテス グラシリス スポート
土が乾燥しないように底面給水で管理しています。葉先がだんだんウツボカズラの袋に成長していくところがかわいいです。

ウツボカズラ ネペンテス
表面の土が乾いたら、たっぷりと上から水を与えます。まだ小さいので、生育期に数ヶ月に1回程液肥を与えました。半日影の場所に置いています。
みんなのフォト

ネペソテス アラータ
狂気令嬢「アラータ」というネーミングに惚れて購入しました。これから初めての冬なので、屋内に移して管理していこうと思っています。

ウツボカズラ ベントラータ
2年目に植え替えをして、日当たりと毎日の水やりに気を付けている。また、下に垂れ下がるので高さが出るように鉢を2段重ねにしている。来年はもう少し細長い鉢を買ってきれいに育てたい。

ウツボカズラ ネペンネス
常に水苔を湿らせておくことに気を付けています。ツボが枯れ始めたらすぐに切除することで体力の消耗を防ぐことが出来ます。

ウツボカズラ ミランダ
初めて育てたウツボカズラなのですが、一度植え替えたら枯れてしまい、ダメかと思っていたのですがツヤツヤに復活してくれました!

ウツボカズラ ネペンテス
春?秋は日当たりの良い場所が適しています。直射日光は避けるように工夫して育てています。ベランダなどが適していると思います。

ウツボカズラ ネペンテス・アラタ
水は毎日あげています。以前3日くらい水をあげ忘れてしまった時は葉っぱが乾燥してよれてしまったような感じになったので、忘れずにあげています。脇芽が出て成長してきたら切って他の鉢に移動しています。

ウツボカズラ ネペンテス グラシリス スポート
土が乾燥しないように底面給水で管理しています。葉先がだんだんウツボカズラの袋に成長していくところがかわいいです。

ウツボカズラ ネペンテス
表面の土が乾いたら、たっぷりと上から水を与えます。まだ小さいので、生育期に数ヶ月に1回程液肥を与えました。半日影の場所に置いています。