葉に黒い斑点があらわれて、すぐに病気だとはわかるけど、どうしたらいいの?
バラを育てている人なら、こんな経験したことがあるかもしれません。
黒星病(黒点病)は、うどんこ病などと並んでバラの病気として知られています。被害にあうのはバラだけではありません。
黒星病がどのような病気で、かかりやすい植物は?早めに被害を抑えるための対策や、予防方法などのポイントを紹介します。
黒星病(黒点病)とは?
黒星病は、バラや、バラ科のさまざまな果樹の葉などで発症します。黒星病にかかると、植物の葉に、丸い小さな斑点ができます。
葉だけではなく、果実も病気の被害にあい、植物の生育も悪くなる病気です。
黒または褐色の、比較的はっきりした斑点が出ることが多いので、すぐに病気だということには気がつくでしょう。
早めに対処しないと、黒い斑点がしだいにたくさんの葉に広がって、病斑は黒いカビが生えたような状態になります。
かんきつ黒点病との違い
バラやリンゴ、ナシなどの果樹に発症する黒星病は、葉に黒い病斑ができるため、黒点病ともいわれます。
同じような名前の、柑橘類の黒点病は、果実に黒い小さな点が無数にできることが特徴です。
かんきつ黒点病ともいわれ、バラなどの黒星病(黒点病)とは別の病気です。間違えないようにしましょう。
黒い斑点の原因は?
黒星病の原因は、糸状菌というカビの一種です。葉に症状があらわれると、光合成の邪魔をされて、植物の生育が悪くなります。
黒星病がさらに進行すると、葉が黄色く枯れて落ちてしまうこともあります。
バラが黒星病に感染した場合、ひどいときには多くの葉が枯れて落ちてしまいます。
黒いカビは胞子によって増え、病斑を拡大させたり、近くにある植物にも感染することがありますので、早めの対策が必要です。
黒星病は、バラ科の果樹にも感染します。果実にも黒い斑点ができて、せっかくの収穫を駄目にしてしまいます。
黒星病(黒点病)にかかりやすい季節は?
黒星病は、気温が摂氏15度から20度になる頃になると発症します。5月から9月、特にカビが繁殖しやすい梅雨の時期に、多く発生する病気です。
真夏の高温のときには繁殖の勢いが弱まり、いったん収まるように見えますが、秋にまた広がることもあります。
年によっては、冷夏や、秋の長雨シーズンにも繁殖しやすい環境となりますので、注意が必要です。
また、土壌で生活するので、冬に消えるわけではありません。
黒星病にかかりやすい植物
黒星病は、バラと、その仲間の果樹に被害が多いことが知られています。
バラ科
さまざまな品種のバラは、どれも黒星病にかかりやすく、黒い斑点を見つけたら早めに対処しないとやっかいな病気です。
ひどくなると、ほとんどの葉が枯れ、花を楽しむことも難しくなるでしょう。
ノイバラも、同じバラの仲間で、黒星病に感染します。ハマナス(ハマナシともいう)にも感染報告がみられます。
ただバラの原種に近いものは比較的病気にかかりにくいです。
モッコウバラ、サンショウバラなど品種によって、黒星病にほとんどかからないといわれています。
新しめの品種の中にも、耐病性に優れた病気にかかりにくいものがあります。
梨・リンゴ・桃
黒星病の原因となるカビの種類は、同じ仲間でも植物により少しだけ異なります。
このため、バラ黒星病、ナシ黒星病、リンゴ黒星病、モモ黒星病などといわれ、これらが特に有名です。
ほかにも、サクランボ、ジューンベリーなどで感染の報告例があります。
梨は、バラ科の果樹で、特に幸水や豊水などの赤ナシといわれる茶色の果実をつける品種が、黒星病に多くかかります。
発症すると、葉だけではなく、果実に黒っぽい病斑がいくつもできるので、わかります。
リンゴの黒星病は、海外からカビが侵入したことによって広まりました。
梨と同様に、葉に病斑ができ、果実にも黒い斑点ができてカビにやられてしまいます。
果実の貯蔵中にも感染が広がった例があります。
桃や、梅の木も、よく被害にあうことが知られています。
スモモ、アンズ、アーモンドもみな、バラ科の果樹で、近縁の種類です。同じように葉と果実が被害を受けます。
果実に感染するとやがてカビが生えて黒いすすのような状態になります。この黒い胞子で繁殖するので、病気の果実は取り除くことが必要です。
黒星病(黒点病)を予防する方法
落ちている枝葉を掃除する
黒星病の原因となるカビは、土壌を住みかに繁殖する糸状菌です。
枯れて落ちた葉や果実にも付着しているため、消えたかに見えても、再発生することがあります。
前年の枝葉など、黒星病のカビが付着している可能性のある、植物の周囲に落ちている枝葉を掃除して、処分しておくことも大切です。
風通しをよくし、密植を避ける
風通しが悪く、湿度が高いと、カビには絶好の環境となります。間隔をあけて植えること、混みあった枝葉は選定することを心がけましょう。
日当たりは適度に
植物の種類にもよりますが、日なたにはカビは繁殖しにくいため、日当たり良好になる環境を作りましょう。
水やりのポイント
水をやりすぎたり、土壌の水はけが悪かったりすると、原因となるカビが繁殖する原因になります。
肥料切れを防ぐのは効果的
バラでも果樹でも、黒星病は、成長した葉がまずやられます。出たばかりの若い葉は、病気にかからないという特徴があります。
若い葉は、表面が保護皮膜によって保護されているため、原因となるカビの侵入を抑える働きがあるためです。
次々と若い葉が芽吹く元気な状態であれば、黒星病にはかかりにくくなります。
そこで、肥料のやり過ぎもいけませんが、肥料切れを防ぐこと。特に鉢植えの場合には注意が必要です。
黒星病(黒点病)になったらどうする?
植物が黒星病にやられて、黒い斑点が目立ち葉が枯れてきたら、早めにカビの繁殖をストップさせましょう。
被害が広がってしまうと、治すのが難しくやっかいな病気です。
病斑のある葉を切り取り、剪定して風通しをよく
葉に病斑が出たら、早めに見つけて切り取りましょう。黒星病にかかった葉が目立つ枝は、枝ごと剪定をして処分することも大切です。
剪定した枝葉は、処分して!
うっかり忘れがちですが、剪定した枝葉は、カビが飛び散らないように片づけて、燃えるゴミとして処分することです。
近くの植物に移ることがあるのは、カビが風に飛ばされて付着するせいです。
水やりは泥はねに注意を
泥のはね返りが、感染を引き起こすこともあります。水やりをするときは、泥が植物にかからないように気をつけましょう。
ビニールなどで地表を覆うマルチングも有効です。
果実には袋かけ
梨、リンゴ、桃などの果実は、雨にあたらないようにあるいは無視に食べられないように、農家では袋かけをすることが普通です。
カビが付着しない効果がありますので、家庭での黒星病対策にも、袋かけをすると感染拡大を防止する効果があります。
薬剤の選び方と使用上の注意
黒星病には薬剤もありますが、葉の多くがやられてしまい、枯れるほどに症状が進行していたら、薬で治すこともなかなか難しいものです。
殺菌作用のある薬剤のほか、葉の表面の保護被膜を守る薬剤は、感染の拡大を抑える働きがあります。
黒星病の防除のために、市販の薬剤を使う場合には、用法や使用量などを守り、説明をよく読んで使いましょう。
黒星病(黒点病)になりやすい生育環境
黒星病になりやすい環境は、カビが繁殖しやすい温度と、多湿、そして植物が弱りやすい条件が整ったときです。
黒星病のカビはどこから来る?
黒星病の糸状菌は、ふだんは土壌の中に生息しています。
冬になって、発病した植物の症状が見られなくなっても、翌年にはまた再発することがあります。
まだ春先のうちに、葉や花の芽に病斑が見られたら、取り除くと、植物が成長しカビが繁殖する前に除去できることもあります。
同じ植物の密植を避ける
同じ植物を広い範囲に植えていると、病気にかかったときには、すぐに広がってしまいます。
黒星病のカビの繁殖は、風に飛ばされて他の植物にうつるほか、雨によっても飛散します。
いろいろな植物を植えたり、草花や樹木の枝が密集しすぎないように、間隔をとるなどして、風通しがよくなるようにしましょう。
雨にあたらない工夫も効果的
黒星病は、軒などの屋根のあるところや、温室などの降雨がかからない場所では、あまり発生しないことがわかっています。
梅雨時などカビの繁殖の適温になり、雨が多い時期には、雨にあたらない工夫をすることも効果的です。
鉢植えであれば、季節によって置く場所を移動することもできるでしょう。
まとめ
黒星病(黒点病)の被害やその原因、予防方法などについて紹介してきましたが、症状が進むとやっかいな病気です。
なによりも予防と、そして早期に発見して対処することが大切です。
病気にかかりやすい季節になったら、カビが繁殖しにくい環境をこまめに整えてあげましょう。
バラ科の植物は、どれも花がきれいで、果樹なら収穫もありますね。
こまめに気をつけて世話をしていれば、手間をかけた分だけの楽しみが待っています。