立ち枯れ病は、多くの種類の植物がかかる病気で、文字通り立ったまま枯れてしまうような症状があらわれます。
少しずつ弱っていくため、どうしようかと気をもんでいるうちに、手遅れになったりすることのないよう、対処法を知っておきましょう。
立ち枯れ病がどのような病気で、かかりやすい植物は?原因や対処法、予防方法などのポイントを紹介します。
立ち枯れ病とは?
立ち枯れ病は、草花や野菜、花木や庭木などの樹木、観葉植物など、ほとんどの種類の植物がかかり、発症する病気です。
初期には、植物の生育が悪くなり、やがて病気が進むと、葉や茎が枯れて黄色あるいは茶色に変色してしまいます。
立ったまま枯れていくものが多いため、この名がついています。幼い苗の段階でも被害にあい、弱よわしく枯れてしまう病気です。
黒い斑点の原因は?
立ち枯れ病の原因は、土の中にいる糸状菌、カビの一種です。植物によって、さまざまな種類の菌が原因になります。
原因菌は、春になると植物の茎や根に菌糸が取り付いて成長し、繁殖することで葉や茎に症状があらわれ、植物の生育の邪魔をします。
カビは胞子によって増え、ほうっておくと、近くにある植物にも感染しますので、早めの対策が必要です。
立ち枯れ病になりやすい時期・環境
立ち枯れ病は、4月から10月、特にカビが繁殖しやすい梅雨の時期に、多く発生する病気です。
気温が摂氏15度から20度になる頃になると発症しますが、菌は-5度~30度でも生息しています。
また、土壌で生活するので、冬に消えるわけではありません。
立ち枯れ病にかかりやすい植物
立ち枯れ病は、草花や野菜などの多くの植物に被害が多いことが知られています。
草花
コスモス、ひまわり、ケイトウ、アスター、ユリ、カーネーションなどの観賞用の草花には、立ち枯れ病の被害が多く見られます。
ローズマリー、ラベンダー、ミントなどのハーブ類も、立ち枯れ病にかかりやすく、被害にあうことが知られています。
野菜
サツマイモ、ホウレンソウ、エンドウなどが、被害にあいやすい野菜として知られています。
これ以外の多くの野菜でも、立ち枯れ病にかかります。
また、苗の状態から育てることも多い野菜では、双葉や、本葉が出て間もない状態から、病気にかかることがあります。
観葉植物・多肉植物
意外なところでは、観葉植物にも、立ち枯れ病のカビは感染します。
鉢植えでも、土に原因菌がいれば感染しますので、水やりの際などに気をつけて観察するとよいでしょう。
樹木
樹木でも、立ち枯れ病の被害が発生することがあります。
たとえば杉の苗の立ち枯れ病や、オリーブの立ち枯れ病などがあります。
大きな樹木は簡単には枯れなくても、葉が落ちたり、実が落ちやすくなったりすることがあります。
立ち枯れ病になったときの対処法
植物が立ち枯れ病にやられて、葉が黄色く枯れ、茎も弱よわしくなってきたら、手遅れにならないうちに対処したいものです。
菌が茎にまで広がってしまうと、治すのが難しくやっかいな病気です。
病斑のある葉を切り取り、剪定して風通しをよく
立ち枯れ病の菌に感染した植物は、根や茎の下部から侵入されることが多いため、いったん感染したら治すことは困難です。
初期の段階では治癒する可能性もありますが、まずは他の植物への感染を防ぐための対処を考えましょう。
植物が変色し、枯れかけてきたら、早めに見つけて患部を切り取りましょう。
全体がやられてしまっていたら、枝ごと、株ごと剪定をして処分することもやむをえません。
いっそのこと早期に植え替えも
土に原因菌が生息しているため、周囲の土を取り除き、土壌の殺菌をするなどして、植え直すということもできなくはありません。
大事に育てている植物などで、試してみる価値はあるかもしれません。
植物の周辺の土の消毒
土壌そのものの消毒は、焼却や、土壌殺菌剤などの方法もありますが、熱湯消毒、日光消毒にも効果があります。
日光消毒は、土をビニール袋に入れるか、シートなどの上に薄く敷いて、太陽の光に半日も当てれば効果的です。
剪定した枝葉は、処分して
枯れた枝葉や、剪定した枝葉は、カビが飛び散らないように片づけて、燃えるゴミとして処分しましょう。
近くの植物に移ることがあるのは、雨や風により、カビが他の植物に付着するためです。
薬剤の選び方と使用上の注意
立ち枯れ病には薬剤もありますが、葉の多くがやられてしまい、枯れてくるほどに症状が進行したら、薬で治すことは困難です。
感染の拡大を抑えるための殺菌剤として、市販の薬剤を使う場合には、用法や使用量などを守り、説明をよく読んで使いましょう。
立ち枯れ病を予防する方法
立ち枯れ病になりやすい環境は、カビが繁殖しやすい温度と、多湿、そして植物が弱りやすい条件が整ったときです。
落ちている枝葉を掃除する
立ち枯れ病の原因となるカビは、土壌を住みかに繁殖する糸状菌です。
枯れて落ちた葉や果実にも付着しているため、再発することがあります。
前年の枝葉など、カビが付着している可能性のある、植物の周囲に落ちている枝葉を掃除して、処分しておくことも大切です。
風通しをよくし、密植を避ける
風通しが悪く、湿度が高いと、カビには絶好の環境となります。間隔をあけて植えること、混みあった枝葉は剪定することを心がけましょう。
日当たりは適度に
植物の種類にもよりますが、日なたにはカビは繁殖しにくいため、日当たり良好になる環境を作りましょう。
水やりのポイント
水をやりすぎたり、土壌の水はけが悪かったりすると、原因となるカビが繁殖する原因になります。
肥料のバランスに注意
チッソ分が多すぎると、立ち枯れ病を誘発しやすくなることが知られています。
肥料はやり過ぎず、バランスが偏らないように施しましょう。鉢植えでも立ち枯れ病になりますので、同様に注意が必要です。
庭いじりの道具の扱いと手入れにも注意
土を掘り返したスコップやクワ、病気の葉の剪定に使ったハサミや手袋など、植物の手入れのための道具からも菌が感染することがあります。
使ったらきれいに泥を落として洗い、消毒をしたりして、道具が立ち枯れ病の原因にならないようにしましょう。
まとめ
葉や茎が枯れて、黄色あるいは茶色に変色し、立ったまま枯れてしまう立ち枯れ病。
立ち枯れ病の被害や原因、病気の予防方法などについて紹介してきましたが、症状が進むと治すことは難しくなってしまいます。
カビが繁殖しにくい環境づくり、落ち葉や枯れ枝の整理など普段から予防を心がけ、そして早期に発見して対処することが大切です。