
- パンダガジュマルの実は種じゃないことが理解できる
- パンダガジュマルの実が落ちた時の対処が自分でできる
- パンダガジュマルの実は、花嚢だということがわかる
- パンダガジュマルの葉が落ちた時にすぐ対処できるようになる
まん丸の葉っぱで人気の「パンダガジュマル」を育てていると、小さな丸い実が付くことがあります。
せっかく種取りしようと思ったのに、実が落ちてがっかりしてしまった、そんな経験はないでしょうか。
こちらの記事では、パンダガジュマルの実の部分に焦点を絞り、その正体や、実が落ちても大丈夫なのか解説。葉が落ちる原因や対処法も併せてご紹介します。
パンダガジュマルの実の正体は「花嚢」
「パンダガジュマル」は、南国原産のクワ科の植物で、一般的なガジュマルの突然変異で生まれました。
一般的なガジュマルの葉は、先がとがった卵型や楕円形なのに対し、パンダガジュマルの葉っぱはまん丸で、かわいらしい雰囲気です。
植物自体は同じなので、パンダガジュマルの育て方はガジュマルとほぼ同じと考えてよいでしょう。意外かもしれませんが、ガジュマルは果物のイチジクと同じ仲間なんですよ。
ガジュマルの実も、イチジク同様「花嚢」とのこと。花嚢とはいったい何なのでしょうか?
次で詳しく説明します。
花嚢とは

花嚢(かのう)とは、花の軸が肥大化して袋状になったもので、果物のイチジクが花嚢の代表格。一見、実のように見えますが、実は、花嚢の中に小さな花が無数に咲いている状態です。
パンダガジュマルの実に見える部分も、実は「花が咲いている」状態になります。
そこで受粉できれば「実」になり、種ができるのですが、国内ではそんなに簡単にはいかないようです。分かりやすくイチジクを例に見てみましょう。
イチジクってどんな実?
ガジュマルの仲間である「イチジク」はどんな実でしょうか?昔はどこの家庭の庭にも植えられていたほどポピュラーな果樹でした。
イチジクは花がないように見えるのに結実するので、漢字では「無花果」と書きます。しかし既述したように、イチジクは「花嚢」なので、熟れた実に見える部分を半分に割ると、中は赤みを帯びた色をしています。
華やかな花弁はないのでお世辞にもきれいとは言えませんが、ここがイチジクの花の部分となります。
イチジクの中には虫がいる?
「イチジクの中には虫がいる」と聞いたことはないでしょうか。筆者も子どものころ祖母から聞き「気持ちが悪い…」と思ったものです。
イチジクの仲間は虫媒花(虫を介して受粉を行う)なので、花嚢の中に虫が潜り込んで受粉を行います。
しかし、イチジクに入る虫「イチジクコバチ」は熱帯域にしか生息しておらず、南国以外の農家で作られたイチジクは、虫の受粉なしでも結実する「単為結果性」の品種なので、安心して食べられるとのことです。
パンダガジュマルの実が落ちても問題なし
パンダガジュマルに実が付いて楽しみにしていたのに、気付いたら取れて落ちてしまった、という失敗談をたまに見聞きします。
自分の育て方が悪かったのか…とがっかりしてしまいますが、そうではありません。
パンダガジュマルの実は「花嚢」つまり花の集合体です。イチジク同様、ガジュマルも虫媒花なので「イチジクコバチ」などが来ないと受粉できず、実=種子ができません。
南国以北で育てている場合は、残念ながらほぼ結実しないと言って間違いありません。結実しなければ実が落ちるのも当然です。
育て方が悪かったわけではないので、気を落とさないでくださいね。
パンダガジュマルの葉が落ちる場合は対応が必要

「実が落ちるのは結実しないから問題なし」ということが分かりましたが、パンダガジュマルの葉が落ちる場合は、重大な生育不良や病害虫が考えられますので早急に対処が必要です。
落ちた葉の状態を見れば原因が分かるかもしれません。詳しく見てみましょう。
①葉が乾燥している場合は水切れ・根詰まりが原因
葉っぱが見るからに乾燥している場合は水切れが原因です。室内でインテリアのように育てていると、うっかり水やりを忘れてしまうことも…。
水やりは鉢の用土が乾いたら、たっぷり与えてくださいね。同様に、根詰まりでも水が足りなくなってしまいます。
2~3年に1回、根鉢より二周り大きな鉢抜植え替えましょう。
②葉が柔らかくしんなりしている場合は根腐れ・日照不足が原因
パンダガジュマルは湿潤を好みますが、根っこ自体は水はけの良さと水持ち両方兼ね備えた用土を好みます。根腐れさせないよう水のやりすぎに注意しましょう。
また、日照不足で葉がしんなりすることもあります。枝がひょろひょろに伸びて葉色が悪ければ日照不足が考えられます。
いきなり直射日光に当てるのではなく、半日陰の場所で日光浴させましょう。
③葉に斑点がある場合は病害虫が原因

葉っぱの斑点の色や状態で、害虫か病気か判断できます。葉に白い斑点ができ、葉裏にフンが付いていたら害虫の被害です。
害虫の口で吸われた跡が無数にある場合もあります。アブラムシやハダニ、カイガラムシの被害を疑いましょう。
黒や茶色の斑点ならカビや細菌による病気が考えられます。病害虫に効く殺虫殺菌剤を撒いて対処します。
べニカXファインスプレーは、殺虫にも病気にも効くため、重宝します。

④葉が黄色くなっている場合は寒さや・肥料過多が原因
葉が黄色い場合は、寒さで落葉した可能性があります。
パンダガジュマルは熱帯域の樹木なので、耐寒性がありません。秋からは5~10℃ほどの場所で育てましょう。
寒くないのに葉が黄変した場合、肥料のやりすぎが原因の一つかもしれません。
ガジュマルはさほど肥料は必要としないので、植え付けや植え替えの時に元肥を施す程度で十分です。生長期に2ヶ月に1回ほど追肥をしても良いでしょう。
⑤葉が焼けたようになっていたら直射日光が原因
葉の表面が茶色っぽく焼けていたら、直射日光による葉焼けが原因です。パンダガジュマルは耐陰性がある樹木で、そこまで強い光を必要としません。
南国原産ですが夏の猛暑時は株が少し弱るので、真夏の直射日光は避けるように気を付けましょう。
パンダガジュマルの実から種の採取は難しい
ここまでお読みいただくと分かるように、パンダガジュマルの種を取る(受粉する)ことは難しいようです。
パンダガジュマルは虫媒花であるため、パートナーの虫たちがいなければ受粉できず、種取りもできません。
虫媒花であっても、これが普通の花(開放花)なら刷毛などを使って人工授粉できるのですが、パンダガジュマルは花嚢と呼ばれる袋の中で咲いているので、プロでもない限り、人の手で交配することは不可能に近いようです。
ただし、イチジクコバチの仲間が生息している沖縄などの南国で育てている場合は、結実して採種できるかもしれないので、種取りにぜひチャレンジしてみてくださいね。
南国以北の方が種まきしたい場合は、沖縄産の種子の販売を探しましょう。園芸店だけでなく、フリマアプリなどもくまなくチェックしてみてくださいね。
まとめ
パンダガジュマルの実は種ではなく花嚢と呼ばれる花なので、結実しなければ当然、実が落ちてしまうということが分かりました。
そして、パンダガジュマルの受粉を助ける虫は、熱帯にしか生息しないので、沖縄でない限り残念ながら種取りはできないようです。
種まきで育ててみたければ、新鮮な良い種子を入手してチャレンジしてみてくださいね。