ハダニはあらゆる植物に寄生しては、植物の栄養を吸い取り弱らせてしまう害虫です。
特にやっかいなのが、繁殖力が高いうえに小さく見つけづらいということ。
そのため、きちんとハダニの対策をとっておかないと駆除してもどんどん被害が広がるなんてこともあるので注意が必要です。
今回はそんな厄介な害虫であるハダニの生態から駆除方法、そしておさえておきたい予防方法まで詳しく紹介します。
ハダニとは
ハダニはダニではなくクモの仲間であり、体長が0.1~0.5㎜の黄緑色や茶色の姿をしています。
3月~10月頃に発生し、群れで行動するため被害が大きくなりやすいのです。
発生初期は特に見つけにくいですが、群れをつくると植物にクモのような巣を張ります。
植物にクモのような糸が網のようにからみついている場合はハダニが多数発生している場合が高いでしょう。
ハダニは葉の栄養を吸い取る
ハダニは葉の裏に寄生しては葉の養分を吸汁します。
養分を吸汁された葉は葉緑素が抜け葉に白い斑点がついたり、色が茶色がかり緑の色が抜けていきます。
光合成が十分に行えずに植物が弱り、最終的には枯れてしまうこともあります。
一方で、ハダニはダニとは異なり人に特に害を与えることはありません。
ただし、ハダニを駆除する際は手袋をつけ、体についたハダニを室内に入れることがないように注意しましょう。
ハダニの繁殖力が強く一気に増える
ハダニの特徴として、有性生殖だけでなく無性生殖でも繁殖することができるので、メスだけで卵を産みどんどん繁殖していきます。
一匹のメスから約100個以上の卵が産まれ、卵から成虫へも早くて一週間ほどで成長するため一度増えだすと爆発的に増殖するのです。
ハダニは風にのって移動する
ハダニは小さく軽いため、体から糸を出して風にのり他の植物へと移動します。
外出時に衣類やカバンなどにも付着するためハダニが付着した衣類を家に持ち込むことによって、観葉植物にハダニが増殖する可能性もあります。
そのためハダニを完全に防ぐということは不可能であり、いかに予防策をとって増殖させないかということが大切です。
ハダニが好む植物
ハダニはどんな植物でも寄生しますが、その中でも寄生し爆発的に増殖するのに適した環境や植物とはどのようなものがあるのでしょうか?
ハダニは気温が高く乾燥した場所を好む
ハダニが発生する時期の中で、特に暑い真夏の時期に大繁殖する可能性があります。
そのため、夏場に暑く乾燥している場所であればどこでも繁殖する可能性があります。
屋外であれば、特に軒下など雨が直接あたらない場所に置いている植物などは被害にあいやすいでしょう。
また庭に雑草が生い茂っている場合は、ハダニが潜んでいることが多く付近においている観葉植物が被害にあいやすくなります。
元気のない植物は被害にあいやすい
ハダニはどんな植物でも寄生するので、被害にあいやすい特定の植物はありません。
その代り、弱った植物はハダニの被害にあいやすく、更に寄生された場合は被害が広がりやすいため注意が必要です。
ハダニの駆除方法
ハダニの駆除方法は主に以下の3つです。
殺虫剤を使用する
ハダニは殺虫剤が効きますが、殺虫剤を購入するときは昆虫に効く殺虫剤では効果がないので、ダニに効く殺ダニ剤を購入しましょう。
ハダニは広範囲に広がっている可能性があるので被害のある植物だけでなく周囲にもまんべんなく噴霧する必要があります。
その時に注意したいのが、ハダニは薬剤耐性ができやすいということ。
そのため、殺虫剤は2.3種類の系統のものを準備し、同じものを長く使用するではなく数種類を定期的にローテーションして使用しましょう。
また殺虫剤に抵抗がある際は、天然由来の安全性の高い殺虫剤として「粘着くん液剤」はでんぷんを主成分としているので安全性も高くおすすめです。
その他にも「オレート乳剤」など天然由来のものがありますので、成分を確認して購入してみましょう。
少数の場合は粘着テープ
ハダニがまだ数が少ない場合は、粘着テープを葉裏についているハダニにくっつけて剥がし取るのも効果的です。
ただし、その際にハダニだけでなく葉を痛めることがないように、やさしく行ういましょう。
無農薬の駆除剤を作る
テープで剥がし取るにも数が多いし、殺虫剤にはやっぱり抵抗があるという方には無農薬の殺虫剤もおすすめです。
おすすめの方法は以下の3つです。
- 牛乳スプレー
- コーヒースプレー
- 酢スプレー
牛乳スプレーは後に詳しく説明します。
その他のコーヒーは飲用よりも濃いものをスプレーに入れて葉裏に噴霧したり、酢は約10倍に薄めたものを噴霧すると効果があります。
ハダニには牛乳スプレーも効果的
牛乳が乾燥することによって膜を張り、ハダニを窒息させて駆除する方法になります。
ハダニ駆除に安全で手軽な方法として有効なので一度は試してみる価値ありです。方法としては以下の通りです。
- 1.2倍に薄めた牛乳をスプレーボトルに入れて準備する
- 2.できるだけ晴れた日にハダニが発生した部分に噴霧する
- 3.次の日に噴霧した牛乳を流水でしっかり洗いながす
ポイントは次の日にしっかり流水で洗い流すこと。洗い流さないと匂いや腐敗の原因になるので注意してください。
また噴霧する際は特に室内の場合は周りにかからないように気をつけてください。
ハダニの予防方法
ハダニは駆除だけでなく予防することがとても大切です。方法としては以下の3つです。
定期的に葉水をする
ハダニは高温で乾燥した場所を好むので、こまめに葉水をし乾燥を防ぐことが大切です。
水やりの際に霧吹きなどで葉の表面と裏面両方に水をふきかけましょう。勢いよくふきかけることでハダニが洗い流すことがことができます。
定期的に殺虫剤を噴霧する
予防的に殺虫剤を使用することで、ハダニの大繁殖を防ぐことができます。
その際に、上記でも説明したように、同じ種類の殺虫剤では耐性ができる可能性があるので、異なる種類を定期的に噴霧しましょう。
また殺虫剤は卵や若年虫から成虫など成長段階によって種類が分かれています。
また卵に効く殺虫剤は長期間効き目が持続するのに対して、若年虫や成虫用は効き目は強く即効性があります。
効果の持続が短いという点もあるので、効果や持続期間を考慮して使い分けましょう。
ハダニの天敵生物を利用する
ハダニにはテントウムシやヒメハナカメムシ、カブリダニなどの天敵がいます。
テントウムシなどはハダニを大量に食べて駆除してくれるという天然の駆除をしくれるありがたい存在です。
そのため、殺虫剤を多用しすぎるとハダニの天敵も一緒に駆除してしまうため、殺虫剤を使用しすぎないということも大切ですね。
ハダニと赤ダニの違い
玄関先や庭のコンクリートなどで見かける通称赤ダニと呼ばれるダニとハダニはよく一緒にされがちですが実はまったく異なる虫です。
ハダニと赤ダニの異なる点は2つです。
- ハダニはクモの仲間、赤ダニはダニの仲間
- 赤ダニは植物に害はない
赤ダニは赤く繁殖した際の気持ち悪さから、悪いイメージがありますが植物や人に害をあたえません。
ただし、赤ダニが室内に紛れて侵入し、赤ダニの体液に触れてしまうとその部分の皮膚が被れてしまうことがあるので注意が必要です。
ハダニも赤ダニも人を噛んだりする一般的なダニとは異なるという点は共通しています。
まとめ
ハダニとは暑く乾燥した場所を好み、どんな植物でも寄生する厄介な害虫です。
風にのって移動するため完全に予防することは難しいため、定期的に予防策を取りながら繁殖を防ぐことが大切です。
ハダニの駆除方法として殺虫剤が効果がありますが、ハダニの天敵も駆除してしまうので、牛乳など自然物を使った駆除方法も試してみましょう。
またハダニによくにた赤ダニは植物に害を与えませんが、外出後の衣服などはよくはたいてから屋内に入れるようにすることをおすすめします。