ヨトウムシってなに?被害にあいやすい植物は?【生態や駆除方法も解説】

ヨトウムシをご存じですか?日本語で「夜盗虫」と書きますが、その名の通り怪盗の様に夜に現れては葉を食い散らかし去っていく厄介な虫です。

大切な植物の花や葉がすかすかに食べられているのに犯人の虫が見つからないなんて時は、ヨウトウムシのしわざかもしれません。

今回はヨトウムシの生態や被害、そして駆除方法までご紹介します。

ヨトウムシとは

ヨトウムシによる被害や発生しやすい原因について説明します。

ヨトウムシによる被害とは

ヨトウムシは食欲旺盛であり、花や新芽、野菜の葉や茎を好んで食べてはすぐに食べつくしてしまいます。

若年幼虫の時は葉の裏側から薄皮を残して食害するので葉が葉脈を残し白く透けた状態となります。

老齢幼虫となると葉脈だけをのこし全て食べつくします。

そのためヨトウムシの被害にあった植物は花つきが悪くなったり、枯れてしまうこともよくあるのです。

また若齢幼虫の時は行動範囲がまだ狭いのに対して、老齢幼虫になると新しい葉を求めて行動範囲が広がっていきます。

行動範囲が広がることによって多くの植物が被害の対象となるので、早めに駆除することが必要です。

ヨトウムシの発生時期と原因とは

ヨトウムシの発生時期は4〜11月頃であり、特に高温となる夏(7月末~9月)頃に多く発生します。

主に春の家庭菜園の始まりから収穫の秋頃までに合わせて発生する害虫です。

ヨトウムシは他の植物から、ヨトウムシの成虫が飛んできて卵を産み付けることによって発生します。

ヨトウムシは他の害虫に比べて天敵が少ないため、家庭菜園などはヨトウムシが繁殖しやすい環境です。

被害を抑えるためには対策をとる必要があるでしょう。

ヨトウムシの生態

ここではヨトウムシの生態として卵から成虫までの特徴などを紹介します。

ヨトウムシはガの幼虫

ヨトウムシとは正しくはヨトウムシ類のガの幼虫のことをさします。

ハスモンヨトウやヨトウガ、シロイチモジヨトウなどの種類が含まれています。

ヨトウムシは成虫のヨトウガが葉に卵を産み付け幼虫に育ちます。

一か月ほどで幼虫から蛹となり土の中で越冬し4月~5月にふ化することで成虫となります。

幼虫であるヨトウムシはその名前の通り、昼間は土の中や葉の裏に隠れていて夜になると土から出てきて活動します。

ヨトウムシの変化

ヨトウムシは年に2世代の繁殖と成長のサイクルを繰り返し繁殖します。

ヨトウムシの卵

3月~5月、8月~10月ころに葉の裏に産み付けられます。ヨウトウムシの成虫1匹で約1000以上の卵が産まれます。

細かい粒のような卵が平らに産み付けられ、色は灰色の毛で覆われた黄土色の卵から乳白色の卵です。

産み付けられてから約3日ほどで幼虫へとふ化します。

卵からふ化したまだ若い幼虫は黄緑色をしており葉裏に群生して生息します。

2~3週間ほどかかり成長すると褐色または黒褐色となり体長4~5㎝にもなる老齢幼虫となる頃には、単独行動となり行動範囲を広げて食害します。

ヨトウムシの天敵とは

ヨトウムシは他の害虫と比べ天敵が少ないとお話しましたが、少ない中にも天敵は存在します。

主にカエルやヤモリ、鳥やクモなど虫を食べる生き物全般が天敵となります。

またその他にもゴミムシなどもヨトウムシを食べてくれます。

ただこれらの天敵は家庭菜園に常にいるわけではないので、天敵による駆除はあまり期待できません。

ヨトウムシの被害にあいやすい植物

ヨトウムシは雑食であり、どんな植物でも寄生する可能性がありますが、特にヨトウムシが好む種類の植物があります。

野菜類
キャベツや白菜、小松菜やブロッコリーなどのアブラナ科の植物をはじめ、ジャガイモやイチゴなどもヨトウムシが好んで食べる傾向があります。

花類
パンジーやマーガレット、またバラなどの花びらが軟らかい花を好んで食べます。

また花のつぼみも食べてしまうため花数が減ってしまう原因となります。

ヨトウムシを農薬で駆除する方法・注意点

ヨトウムシは蛹や成虫には農薬の効果があまりないので、卵や幼虫の間に駆除することがポイント。

卵はふ化する前に葉ごと駆除しましょう。

葉や花が食害されているのに、虫が見つからない場合やヨトウムシのフンがある場合は早めに駆除が必要です。

ヨトウムシに有効な農薬3選

STゼンターリ顆粒水和剤

天然成分を使用しているのに効果が絶大であることが特徴です。

イモムシ系の害虫に無敵の効力を発揮し、天然成分を使用しているため有機栽培にも使用できます。

全ての野菜・果樹に収穫前日まで使用することができます。

アファーム乳剤

60種類以上の作物に使用することができ、有効成分は自然物を由来としています。

老齢幼虫にも有効であり、その他複数の害虫にも有効です。

成分が残留しにくいので、ヨトウムシが発生しやすい時期に収穫を迎える夏野菜にも使用することができます。

オルトラン水和剤

水で薄めて葉や茎などに散布して使用します。高い浸透移行性により植物の隅々までいきわたり食害防止効果があります。

農薬を使用する際に注意点とは

農薬は正しく使わないと害虫だけでなく植物や収穫する作物にも影響を与える可能性があるので十分注意して使用しましょう。

適応作物を確認

農薬によって使用できる植物から時期が異なります。

対応しない植物に使うことで枯れる原因になったり、収穫する作物に農薬が多く残留するといった場合もあるので必ず確認しましょう。

ヨトウムシの成長に応じた農薬を使用する

ヨトウムシが駆除できる農薬には、駆除目的ではなく食害を予防するものから、老齢幼虫には効果がないものまでさまざまあります。

駆除目的のヨトウムシがどの程度の大きさなのか確認してから使用することで、確実に駆除することができます。

広範囲に散布する

ヨトウムシは飛んで移動し色んな葉に卵をうみつけます。

ヨトウムシを見つけた場合はその周辺の植物もヨトウムシが潜んでいる可能性があります。

そのためヨトウムシが確認された畑や花壇だけではなく可能な限りその周辺にもまいておくことをおすすめします。

特にヨトウムシが好んで食べる植物が周囲にある場合は被害が見られない部分にも予防的に使用するといいでしょう。

ヨトウムシを農薬以外で駆除する方法

農薬で駆除することが簡単で確実ではありますが、やはり収穫する作物に使用する際は農薬などできれば使いたくないもの。

そんな時は農薬を使う前に自然なものを利用した駆除方法を一度試してみることをおすすめします。

米ぬか
幼虫のヨトウムシは植物以外にも米ぬかが大好物です。

被害を予防した植物の畑やその周囲にお皿やタッパーなどに米ぬかをたっぷり入れて、置いておきましょう。

ヨトウムシが集まり、米ぬかの中に入り捕殺することができます。

その際に米ぬかに殺虫剤を混ぜておくと、逃げられることもなく更に効果的です。

コーヒー
幼虫のヨトウムシはコーヒーがとても苦手です。

そのため濃く淹れたコーヒーをスプレーなどに入れて葉の表面に散布することで、ヨトウムシの食害を予防することができます。

またコーヒーを淹れた後の豆を土に混ぜ込むことで、畑に潜り込んでいるヨトウムシの幼虫を追い出す効果もあります。

草木灰
草木灰とは、枯れ枝や落ち葉、藁などを燃やした際にできる灰のことです。

この灰を葉に振り掛けておくことでヨトウムシの成虫の産卵防止となり、また土にまくことで幼虫のヨトウムシを寄せ付けない効果があります。

同じ灰である石灰でも代用可能ですが、石灰はアルカリ性であり作物はアルカリ性の土が苦手な種類もいます。

そのため、必ず植えている作物との相性を確認してから選択してください。また石灰は作物自体にあまりかからないように注意が必要です。

殺虫灯
ベランダなど対象の作物の付近で雨にあたらない場所に吊るして使うのが殺虫灯です。

殺虫灯が放つ光に近づいてきた虫を高電圧を殺すことができます。

産卵場所を求めて飛んできたヨトウムシの成虫を駆除することができ、産卵防止の効果を期待できます。

まとめ

ヨトウムシは蛾の幼虫であり、成虫になるまで色んな植物をどんどん食い尽くしていきます。

また主に夜に活動するため昼間は姿が見えず気づけば被害が拡大して枯れてしまったなんてことも。

ヨトウムシを駆除するためには成虫になる前に早めに駆除することが大切です。

駆除方法は農薬を使用する方が簡単で確実ではありますが、適応の植物や農薬の残留期に注意して使用しましょう。

農薬に抵抗がある方はまずは自然のものを使用した駆除方法を試してみるのもいいかもしれませんね。

大切に育てている植物がヨトウムシの被害にあって枯れてしまう前に早め早めの駆除と日頃からの予防対策をとっておきたいですね。