
コナカイガラムシとは植物や果樹などに発生する比較的よく見られる害虫のひとつです。
とても小さいため知らないと見逃してしまうこともありますが、繁殖力が強く一気に植物を弱らせてしまうため早めに駆除が必要です。
そこで今回はコナカイガラムシとはどんな虫なのか、特徴から被害にあいやすい植物や対策方法を紹介します。
コナカイガラムシとは
コナカイガラムシはカメムシ(半翅)目コナカイガラムシ科に属する昆虫のひとつです。
体長約2~4㎜の楕円形で白い粉状のロウ物質で覆われています。
体の側面からロウ物質が長く伸びているため無数の足が生えているように見えます。
コナカイガラムシは風にのって移動する
コナカイガラムシは小さいため風にのって移動し植物に寄生すると言われています。
また、衣服などについて屋内に入ると人の移動による風などで簡単に飛ばされ、屋内にある色んな植物に移動し繁殖することもあります。
そのため、コナカイガラムシを発見した際は周囲の植物にもいないかよく確認し全て駆除することが大切です。
コナカイガラムシによる被害
コナカイガラムシは植物に寄生すると、針を刺し植物の栄養を吸汁します。
また吸汁する際に植物の体内に毒素や病原菌を注入し更に弱らせてしまうのです。
またコナカイガラムシは甘露と呼ばれるべたべたした排せつ物を出し、植物の葉が甘露で覆われることで光合成が低下してしまいます。
そして甘露によりすすカビ病の原因となる病原菌が付着しやすくなります。
すすカビ病が発生すると葉や茎がすすのように黒く変色してしまうのです。
コナカイガラムシの生態・種類
コナカイガラムシはその名前の通りカイガラムシの種類の一ひとつです。
しかし、コナカイガラムシは同じカイガラムシとはちょっと異なった特徴を持っています。
コナカイガラムシとカイガラムシの違い
カイガラムシは成虫になると固い殻に覆われ植物の上で動かなくなります。
それに対しコナカイガラムシはふわふわした白い粉状のロウ物質に覆われているため、成虫になっても移動し動きまわることができます。
またカイガラムシは卵から生まれ1齢幼虫から2齢幼虫となると脚が退化し固定し生活します。
それに対して、コナカイガラムシは2齢幼虫からオスのみ蛹となりその後成虫となります。
そしてメスだけで繁殖可能な「単為生殖」を行うとされており、コナカイガラムシが一匹でもいるとその一匹で大量発生することも可能です。
コナカイガラムシの主な種類
コナカイガラムシの種類をいくつか紹介します。
ミカンヒメコナカイガラムシ
柑橘類やヤツデに寄生し、白い体に尾端の2本が長いのが特徴です。
年に3~4回発生し葉の重なったり葉や茎が込んでいる部分に群生します。
マツコナカイガラムシ
アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどに寄生します。
6月に産卵し年に1回の発生ですが、温かい地域では年に2回発生することもあります。
卵からかえったばかりの幼虫は針葉に集中して寄生します。
オオワタコナカイガラムシ
下記の樹木などに寄生します。
- カキ
- リンゴ
- ケヤキ
- サクラ
- カエデ
4月頃に発生し5月には大量の卵を産み付け繁殖します。
駆除のために同じ薬剤を使うと耐性ができ効かなくなるため、数種類の薬剤をローテーションして使うことで効果が長く得られます。
コナカイガラムシがつきやすい植物
コナカイガラムシはカイガラムシと同じように野菜や草花、果樹に発生します。
その他にも観葉植物やサボテンなどの多肉植物にも発生します。
ただ、コナカイガラムシは白く小さく移動するため見つけにくく注意深く観察しないと見落としてしまうこともあります。
発見が遅れてると大量発生する原因となるため、できるだけ早くみつけることが大切です。
そのため、白く小さい物がつている場合は埃やゴミではないか観察してみてください。
葉にべたべたした甘露がついていないかなどをポイントによく観察してみましょう。
コナカイガラムシを駆除する方法
コナカイガラムシを駆除する方法として農薬や殺虫剤を使用する方法から、農薬を使用しない駆除方法も紹介します。
農薬や殺虫剤を使用した駆除方法
コナカイガラムシを確実に駆除するには薬剤を使用すること有効です。
ただし、薬剤を使用した植物や土をペットや小さいお子様が触れることがないように注意して使用しましょう。
殺虫剤
コナカイガラムシは小さく見つけづらい場所にいることから確実に駆除するためには殺虫剤がおすすめです。
ただしコナカイガラムシは表面を白いロウ物質で覆われているため成虫となると殺虫剤が効きにくいという特徴があります。
そのため、成虫となる前の幼虫の段階で使用することが一番効果が得られます。
コナカイガラムシに効果のある殺虫剤としてはオルトランやスミチオン、アカテリックなどの薬剤が有効です。
殺虫剤を使用してもコナカイガラムシは一度使用する程度ではまだ生き延びている可能性も高いです。
2週間に1度のペースで2ヵ月は定期的に使用する必要があります。


マシン油乳剤
コナカイガラムシの成虫には殺虫剤が効きにくい為、成虫が大量発生した場合は通常の農薬や殺虫剤では効果があまり得られません。
その場合は「マシン油乳剤」を使用してみましょう。
マシン油乳剤をコナカイガラムシの幼虫や成虫に散布すると窒息し大量の退治することができます。
マシン油乳剤である「キング95マシン」の場合、使い方としては使用回数の制限はありません。
しかし、薬害が出る可能性もあるので新芽が出る前に使用しましょう。
そして、名前の通り油が使われているので火気厳禁ですので注意が必要です。

薬剤を使用しない駆除方法
捕殺かこすり落とす
コナカイガラムシが数匹の場合は捕殺やこすり落とすことも有効です。
捕まえる場合はピンセットを使用し、こすり落とす場合は濡れティッシュや歯ブラシでこすり落としましょう。
その際に死骸や白いロウ物質が完全になくなるまで完全に取り除かないと死骸から幼虫が生まれたり再発生する原因となります。
捕殺やこすり落としたコナカイガラムシはゴミ袋などに入れて密閉してから捨てましょう。
カイガラムシは水が苦手|お湯のシャワーをかける方法も

カイガラムシは水が苦手のため、水圧の高めのシャワーなどで水をかけるとおちてくることがあります。
ただし、すべては駆除できないことが多いため、シャワーだけですとまた繁殖してしまうので注意してください。
また、コナカイガラムシを捕殺した後に、40℃程度のお湯をシャワーなどでかけることもおすすめ。
40℃程度のお湯は卵も死滅させることができます。
ただし、熱すぎると当然植物にも負担がかかりますので温度設定には注意が必要です。
庭の植物や樹木などには難しいですが、鉢植えなどの移動可能な植物にはお風呂場に持って行きシャワーをかけてみましょう。
お湯をかけることでべたべたした甘露も取り除くことができます。
コナカイガラムシの予防方法
コナカイガラムシは年に数回発生したり、越冬することもできるので冬の間に薬剤を使用し再発を防ぐことができます。
また薬剤以外でもコナカイガラムシの予防として有効な方法をいくつか紹介します。
薬剤を使用した予防方法
コナカイガラムシに効果のあるオルトランやマシン油乳剤などが予防として有効です。
マシン油乳剤は越冬中の成虫にも効果があるので、冬の間に2週間に1度のペースで繰り返し散布することで再発を防ぐことができます。
オルトランなどの粒状の殺虫剤は土にまくことで、土の中に隠れているコナカイガラムシも駆除することができます。


薬剤を使用しない予防方法
木酢液
木酢液とは木炭を製造するときに発生する煙を冷却した液体です。
木酢液にはコナカイガラムシを駆除する効果はありませんが、コナカイガラムシをはじめ害虫が嫌う性質があります。
そのため、植物に散布することでコナカイガラムシが寄ってこなくなります。
また木酢液は植物にとっては成長促進する作用もあります。
ただし、濃すぎると植物にとっても害となるので規定量に薄めてから使用しましょう。
また木酢液は繰り返し使用すると耐性をもったコナカイガラムシが大量発生する可能性があります。
そのため木酢液を散布しても発生する場合は、予防策として木酢液以外の対策をとりましょう。
葉水をこまめに行う
コナカイガラムシは風通しが悪く乾燥した場所を好みますので葉水を定期的に行うことで予防することができます。
またコナカイガラムシを駆除した後の植物を風通しのいい場所に移すこともおすすめです。
まとめ
コナカイガラムシがは小さく見つけにくい害虫ですが、一匹でもいると大量発生する可能性があります。
また成虫になると殺虫剤も効きにくくなるため早めの駆除が必要です。
コナカイガラムシが発生したら早めに駆除するために、普段から植物をよく観察しておきましょう。
また予防策をとっておくことで、植物や樹木など元気な状態で長く楽しむことができますよ。