昨日まで元気だった植物がまるで切り落とされたように根元から倒れている、茎にかじられたような跡があるのに原因がわからない。
犯人らしき虫が見つからないなんてことがあれば、それは「ネキリムシ(根切り虫)」の仕業かもしれません。
ネキリムシ(根切り虫)は夜行性で昼間は土に潜っているので一見、見つけ辛いです。
しかし、食欲旺盛なため早めの駆除をしないと被害がどんどん大きくなってしまいます。
そこで今回はネキリムシ(根切り虫)の生態から植物への被害や、駆除方法まで詳しく紹介します。
ネキリムシ(根切り虫)とは?生態について
ネキリムシ(根切り虫)とは、カブラヤガやタマナヤガなどヤナガ類という蛾の幼虫の総称です。
ネキリムシ(根切り虫)の名前は植物をかみ切る様子から「根切り虫」と呼ばれています。
実際は名前とは異なり根は食べず根元に近い茎や葉を食べて生育します。体長約40mmほどで、形はイモムシのような姿です。
ネキリムシ(根切り虫)による被害とは?
ネキリムシ(根切り虫)は日中は土の1~5㎝ほどの浅いところに潜んでおり、夜になると活動を始め植物の地表近くの茎や葉を食害します。
株を移動しては植物をどんどん食べていくほど食欲旺盛です。
仲間が近くにいると共食いすることもあり基本は群れずに単独で行動しています。
ネキリムシ(根切り虫)の被害にあうと植物が地ぎわから噛み切られて折れてしまいます。
また噛み切られた茎や葉が土の中に引きずりまれるため生け花のように残った部分が地表からすっと立っているなんてこともあります。
ネキリムシ(根切り虫)を防ぐことは難しい
ネキリムシ(根切り虫)の発生原因としては、以下の2種類が考えられます。
- ネキリムシ(根切り虫)の成虫が飛来して葉に卵を産み付ける
- 苗や植物を購入する際にすでに寄生している
また雑草がなくきれいに手入れされている畑などは、植えられている植物が食害の対象になります。
ネキリムシ(根切り虫)が発生した際に植物の被害が大きくなりやすいといったこともあります。
ネキリムシ(根切り虫)の発生時期
ネキリムシ(根切り虫)の発生時期は主に5~10月です。
ただ実際は真夏や真冬以外はネキリムシ(根切り虫)が活動していることがあります。
ネキリムシ(根切り虫)は成虫が春頃に植物に飛来し、雑草から植物などの地表に近い部分に卵を産み付けます。
孵化したばかりの比較的若い若齢幼虫はまだ食べる量も少なく、被害も小さいため気づきにくいです。
地中で越冬し年に3~5回ほど発生して植物を食害するのです。特に猛暑の年は大繁殖する傾向があります。
また夜行性のため光が苦手であり、明るくなるとすぐに土の中に潜って隠れてしまいます。
終齢幼虫にもなると体の色が茶色くなり、更に刺激を与えると石のように丸くなることで土の中では探しにくくなるのです。
ネキリムシ(根切り虫)が好む植物
雑食であり野菜や花の植えたばかりの苗や芽など比較的柔らかい茎などを好んで食害します。
種類としてはアブラナ科ではキャベツやブロッコリー、発芽した直後のダイコン、花ではキクやグラジオラスなどが被害にあいやすいです。
その他にジャガイモやタマネギ、トウモロコシにトマトやネギ、ほうれん草、小松菜などの野菜が被害にあいやすいです。
また花ではヒマワリやパンジービオラの苗がネキリムシ(根切り虫)が好んで食べるので注意しましょう。
ネキリムシ(根切り虫)の駆除方法
昼間のネキリムシ(根切り虫)は土の浅い部分に潜って隠れています。
そのため被害のある植物の根本付近の土からネキリムシ(根切り虫)を見つけることができます。
方法としては殺虫剤が効果があるため殺虫剤を使用する方法と、直接駆除する方法があります。
殺虫剤を使わないネキリムシ(根切り虫)の駆除方法
ネキリムシ(根切り虫)は地表から約1~5㎝程度の深さにいるため、手で浅く掘ると比較的簡単に見付けることができます。
見つけ次第すぐに捕殺してください。
また、ネキリムシ(根切り虫)を見つける際にスコップなどで深く掘り返すのはやめましょう。
ネキリムシ(根切り虫)と土が混ざり見つけにくくなるため、できるだけ軍手などをはめた手で浅く掘り返して探すようにしましょう。
その他にコーヒーや米ぬかを土にまくという方法もありますが、殺虫剤を使わない場合は捕殺する方法が一番確実です。
また、雑草のないきれいな畑に植えられている植物が被害にあいやすいためあえてある程度雑草を残すという方法もあります。
殺虫剤を使うネキリムシ(根切り虫)の駆除方法
殺虫剤は即効性がああるため、植え付けた後の苗や発芽したばかりの作物の被害を最小限に抑えることができます。
種類としては「ネキリベイト」や「オルトラン®粒剤」などが有効です。
株元の土にばらまくことで土の中に潜んでいるネキリムシ(根切り虫)を退治することができます。
ネキリムシ(根切り虫)の予防方法
ネキリムシ(根切り虫)の予防方法として、幼虫だけでなく成虫も飛来しては卵を産み付けるため成虫・幼虫ともに予防対策が必要です。
できるだけ殺虫剤を使わないためにも予防策をしっかりとっておきましょう。
ネキリムシ(根切り虫)の成虫の予防方法
飛来して卵を産み付けていくので、畑や植物などに防虫ネットをかけることで成虫の飛来を防止することができます。
また、地表近くの茎や雑草などに卵を産み付けるため、卵を産み付けられる場所を減らすために除草をしておくことも予防には効果的です。
ネキリムシ(根切り虫)の幼虫の予防方法
ネキリムシ(根切り虫)の幼虫の予防には、卵の殻をよく乾燥させて砕いたものや粉唐辛子を株元にまくのが有効です。
幼虫が嫌がり逃げ出す効果があります。卵の殻を使う際はしっかり乾かしてから使用しましょう。
また地表に近い茎を一本性の切り込みを入れたストローで覆って茎の食害を予防する方法もあります。
他には苗や発芽したばかりの作物などは、周囲をトイレットペーパーの芯やはがきなどの硬い紙で周囲を囲むのもおすすめです。
紙で周囲を囲う際は、地中からネキリムシ(根切り虫)が中に入らないように5㎝以上の深さまで土に紙を挿しこみましょう。
まとめ
ネキリムシ(根切り虫)は夜行性であり夜に活動しては大切な植物の苗など柔らかい茎や葉を好んで食害する厄介な害虫です。
昼間は土に潜って隠れているため姿を見ることができません。
地表の比較的浅い部分に隠れているため、軽く土を掘ると見つけることができます。
ネキリムシ(根切り虫)は雑食であり、被害にあう植物の種類も多いため家庭菜園などを行う際は早めの駆除が大切です。
また、しっかり予防策をとっておくことで被害も小さく抑えることができます。
普段より植物の様子をよく観察して害虫だけでなく病気や弱っている様子など早めに発見し対策をとりましょう。