植物の葉が食べられ葉裏を見てみると毛虫のような害虫がいた場合は要注意!それはイラガの幼虫かもしれません。
イラガの幼虫は体を覆っているトゲに毒を持っており、毒に触れると電気に触れたような強い痛みに襲われる怖い害虫です。
そこで今回はイラガの生態から植物にもたらす被害、そして駆除方法や万が一刺された場合にどんな対処をしたらいいのか、詳しく紹介します。
イラガとは
イラガとは詳しくはチョウ目イラガ科に属する蛾の仲間です。ヒロヘリアオイラガやナシイラガ、アカイラガなどの複数の種類が存在します。
イラガの成虫や繭は毒はない
イラガの成虫は黄緑色の体に羽の下側が茶色いものや青い線が入ったものなど種類によって姿が変わります。
7月の夏の初めから9月の秋頃の期間に発生します。
幼虫から繭になり成虫となりますが、繭や成虫には特に人に害を与えるような毒は持っていません。
一方でイラガの幼虫は別名「イラムシ」とも言われ、一見ウミムシのような姿をしています。
7月~10月頃に発生し、姿は黄緑色の体に背中に青い斑点と黒い線が入っており、体中がトゲで覆われていることが特徴です。
問題はそのトゲであり、そのトゲに素手で触れてしまうととても強い痛みを感じます。
その痛みは「電気がはしったような痛み」や「焼いた鉄を押し当てられたような痛み」と表現されるほど。
そして刺された箇所はかゆみがおきたり皮膚炎を起こすことがあります。また卵の抜け殻にも毒針が残っている場合があるので注意しましょう。
イラガが植物にもたらす被害
イラガは一度に20~30個もの卵を産み付け、孵化後には群れとなって過ごします。
イラガの幼虫は葉の汁を吸い、栄養を吸われた葉は葉が白く薄い状態になってしまいます。
駆除しないと食べ続け、最悪樹木葉が茶色く葉脈だけになるなんてことも。
またそのままイラガの幼虫が成長し繭になり冬を越して成虫となって、再び同じ木に飛来して卵を産み付けます。
その場合はその翌年は更にイラガの幼虫が大量発生することもあります。そのため見つけたら早めに駆除することが必要です。
イラガが好む環境・植物
イラガの幼虫は色んな植物に生息しています。
特にカキやナシ、サクラ、アンズ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、リンゴなど樹木やバラ科の植物などに好んで生息します。
生息地域は九州から北海道まで全国に分布しており、公園や街路樹にも生息していることがあります。
イラガの発生する時期には注意が必要です。
また木にイラガの繭がある場合は、イラガが潜んでいる可能性があるので気を付けましょう。
イラガはどこにでも発生する可能性がありますが、葉や枝が混み合っているとイラガが見つけにくく駆除しにくいです。
そのため、定期的に込み入った部分は剪定しておくことをおすすめします。
イラガの駆除方法
イラガは幼虫のうちに駆除することが一番有効です。
駆除する際には、イラガの幼虫のトゲには毒があるため肌に触れることがないよう長袖長ズボンや帽子とゴム手袋など肌の露出を避けた服装で行いましょう。
イラガの幼虫をみつけたら、火箸や割り箸などで捕殺する場合は意外とすばしっこいので注意が必要です。
掴んで捨てる際にもトゲがあるので新聞紙などに包んでからゴミ袋に捨てるといいでしょう。
有機リン系の殺虫剤が有効
殺虫剤がよく効くのでまずは殺虫剤をまいてから捕殺すると一番安全で簡単です。
殺虫剤を噴霧して1~2時間ほどすると木の下に落ちているのでそれを捕まえて駆除しましょう。
その時に死骸にも毒があるので死んでいるからと油断せずに最後までしっかり処理してください。
一度殺虫剤で駆除してもまだ幼虫が多数潜んでいる可能性があります。
殺虫剤を使った後は1~2週間空けて再度殺虫剤を噴霧すると確実に駆除することができます。
繭も見つけたら処分を
幼虫同様、繭も木の枝や幹、コンクリートなどにはりついていることがあるので、見つけたら剥がして駆除しましょう。
繭をそのままにしておくと、翌年も卵を産み付けイラガが発生することがあるので、できるだけ処分することが望ましいです。
繭は茶色くマーブル状の模様をしているので木のこぶしにも見えますが見落とさないようによく探してみてください。
また繭が意外と硬くよくくっついているので剪定ばさみなどを使って切り落とすと簡単に処分することができます。
繭は特に毒はないので、特に注意は必要ありません。
イラガの幼虫に刺された時の対処法
注意していたけどイラガの幼虫に裾の隙間から刺されたり、誤って素手で触ってしまった場合は早めに処置しましょう。
強い痛みが特徴ですが、その痛みは1~2時間ほどで大概はおさまってきます。
人によっては皮膚炎を起こしたりかゆみが1週間ほど続いてしまうこともあるようです。
冷たい流水でしっかり流す
手に刺さったとげを除去するためにまず流水で刺された部分をよく流しましょう。
その際に冷たい水の方が痛みも和らぐので冷たい流水で流してください。
流水で流してもとげが残っている場合は、粘着テープなどで2、3度優しく剥がして除去してみてください。痛みは強いですが徐々に落ち着いてきます。
炎症を抑える薬を塗る
刺されたあとは皮膚炎をおこすこともあるので、毛虫などのムシに刺された時の炎症を抑える市販薬を塗っておきましょう。
赤みやかゆみが残る場合がありますが、できるだけかかないようにしてください。
炎症が酷く痛みや腫れがしばらくたっても引かない場合や皮膚が薄い場所や粘膜などに触れてしまった場合は、皮膚科を受診するといいでしょう。
まとめ
イラガは蛾の仲間ですが、特に幼虫は毒のあるトゲを持っている厄介な害虫です。
トゲが刺さった痛みはとても強く皮膚炎を起こすこともあるので注意が必要です。
駆除する際は素手で触ることがないよう完全防備してから行いましょう。
殺虫剤が有効ですが、多数イラガの幼虫がいる場合は、専門の業者に駆除を依頼する方が安全な場合もあります。
イラガのように植物や人にも害のある害虫が大量発生しないように、普段から植物や庭木の様子を観察しておきましょう。