「なぜか蛇イチゴみたいなのしかできない」
そんな反省を振り返り、改めてイチゴ苗の植え替え手順と土作りについての段取りを画像付きで解説します。
秋苗イチゴを冬越しさせる方法や、クリスマスイチゴを収穫する方法なども紹介いたしますので、イチゴの植え替えに興味のある方はぜひご覧ください。
イチゴは一季なりと四季なりで植え替え時期が違う
今回は一季なり品種のポット苗の冬仕立ての植え替えを行ってみたいと思います。
一季なりは春に一回実がなる品種、四季なりは春秋2回開花します。
大きな甘い品種は一季なりに多いようです。

今回使用した一季なり品種のイチゴ苗「アイベリー/とちおとめ」
また、冬越しの休眠が長いものは1ヶ月半〜2ヶ月、短いものは1ヶ月弱ほど眠ります。
ロゼット状の葉の中心のクラウンから新葉が成長していきます。
用具と用土作り

基本用土2種、スコップ、除草シート、6号プランター(ちょうど5L入ります)
格別必要なものはありませんが、用土は今回特別入手した「あま~いイチゴをつくる土 5L」を基本用土にします。
なぜかといえば、以前トライしたイチゴが鈴なりの蛇イチゴにしかならなかったという苦い経験があるからです。
腐葉土 | 7 | 基本培養土 |
---|---|---|
赤玉、ピートモス | 2 | |
パーミキュライト | 1 | |
元肥1(速効性) | 鳥糞、牛糞 | 油かす、魚粉など |
元肥料2(土改良、遅発性) | 溶性リン肥料、化成肥料置き肥など | 苦石灰、藁、籾殻、米ぬか |
イチゴ苗の選び方・作り方
秋苗といわれる春に収穫された親株からの小株をポットに移植したものが店頭に出回っています。
「冬にイチゴ栽培したくなる心理」を微妙に操作され、焦って駆け込むのは大変危険です。
なぜなら、どこでも売れなかった売れ残りの「老婆のような苗」を掴まされる危惧もあるからのです。
老化苗とは?
老化苗とは、時間が経ちすぎてポット内で根詰まりや徒長を起こしている古い苗のことです。
ランナーは見えず、クラウンもスッカラのことも。
株を新用土に移し変えても根はりに時間とエネルギーを費やすことになり、実が少なかったりします。
日照、人工受粉、花の間引きは必須
日照は基本です。
多めでないと徒長ばかりで花もつかないでしょう。
人工受粉は栽培上必須です。
開花したら2日以内に刷毛や筆で受粉させることが重要です。
種が実った分だけイチゴは大きくなります。
花が多い場合は減らします。
プランター栽培でのイチゴ苗の植え方と冬越しさせる準備
イチゴ苗の植え替えの手順はこちらです。
- 剪定(作業前、植え替えあとでも良い)
- プランターに鉢底石を敷く
- 穴を開け苗を固定
- 黒ビニールを敷く
剪定
イチゴの小株苗は、12月から2月辺りまで休眠に入ります。
休眠態勢の葉は地べたに倒れロゼット状になってくるのでわかりやすいです。
事前処理で半分枯れている葉っぱは落としておきます。

右は室内温度のまま(休眠させないイチゴ苗)、左側は露地栽培で12月上旬頃撮影、ロゼット状になりかけ(休眠に入る準備)
イチゴ株は通常ランナーが出ている部分の反対側に多くの実をつけます。
(もちろん次世代のランナーも多くでます)
そのため、プランターでは実をつけたい方向に、寄せ植えならば中心に全てのランナーを向けて植え替えをします。
軽石を敷き植え替える
イチゴは水捌けの良い、通気性に富む土を好みます。
プランターでスリットが足りない場合は鉢底石を多目に敷きます。
買ってきたイチゴ苗では、必ずしもランナーが残っているとは限りません。
そのようなときは下図のように少し苗を傾けて植え替えをします。
すると結実するのが片方に集中するので果実の品質が安定します。
土植えでは黒ビニールマルチとカバー
マルチというのは直接土を覆う黒いビニールで、株のところに穴を開け使用します。
冬越しでは保温、保湿のほか除草目的のために敷くものです。
収穫期ではイチゴの実を泥はねや土からの虫害、菌感染などから保護するために敷くものです。
この上にカバーや藁を敷くとさらに効果が高いです。
クリスマス苺を収穫するには
今回は花付きイチゴ株がなかったのですが、数個の開花している花と蕾が着いている株ならば冬に収穫が可能です。
クリスマス前に四季なりイチゴがよく出回っていますので、室内最低15~20度以上で育成すれば結実します。
リンが多めの液肥でもいいので2週間サイクルで与えます。
※休眠に入る前でないと植え替えても意味がないので注意します。
※基本的には11月までには準備が終えられるように計画します。
イチゴの休眠中、活動期に備え作りたいもの
春先に休眠期を終え、急激に成長を始める時期に追肥を行いますが、自作しておくのもいいかと思います。
露地植えの有機栽培は牛糞や鶏糞を混ぜた腐葉土がよく使用されていますが、化成肥料にリンを足す置き肥でもいいかと思います。
(室内栽培だと有機肥料は独特の臭いがしますので、お好みで試しましょう)
ちなみに間をとった速効性の高いこのような有機肥料入り化成肥料も出回っています。
リンが多めなのが特徴で、8号鉢だとこのくらい(大さじ一杯程度)です。
ちょっとバットグアノにも見えますが製品表記通りだと加工鶏糞です。
植え替えを終えて
前回の反省を踏まえ、イチゴの植え替えをしました。
- 老化苗は花付きが悪い
- 休眠期間はしっかり風を当てて低温状態にする
- 日照は多めでないと、徒長ばかりで花もつかない
- 保護材があると実がきれい
- 肥料はややリン多目がよい
- 根が巻き込むと実がつかないので植え替えは重要(5リットルで2~3株)
来年こそはおかしな蛇イチゴ栽培を卒業し、立派に結実の日の目を見たいと改めて思います。
園芸初心者にとってすずなり大粒イチゴはまさにときめきの至極の極みです。
初夏に木陰で楽しむイチゴモヒートがまさに、夢のようですね。